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情報技術革新は金融に何をもたらしたか?


渡邊秀文
総合政策学部3年
1995年7月13日
岡部研究会
1995年春学期

概要


近年の情報処理・通信技術の進歩は、金融取引ひいては金融システム全体に対 して大きな影響を与えてきている。本稿では、金融の中でも銀行業を取り上げ る。そして、(1)これまでにどのような技術革新が銀行業に取り込まれてき たのか、(2)技術革新が金融の基本機能にもたらした影響は何なのかを分 析し、(3)このような金融システム全体に対する影響をわが国はどのよう にとらえていかなければならないのか、といった点を考察する。

(1)については、日本の銀行業における技術革新(情報システム整備)の歴 史的経緯を分析する。日本における技術革新は、a)1960年代後半の第一次 オンライン化、b)1970年代後半の第二次オンライン化、c)第三次オンライ ン化に整理することできる。このような流れのあとにくる、ポスト第三次オン ライン化、そして金融新サービスを展望する。特に後者については、近年さま ざまな分野から注目されているインターネットにおける金融サービスについて 重点を置き、やや詳細に記述する。

(2)については、金融の技術革新による影響を理論的に分析する。ここでは、 その影響を三つに整理した上で取り扱う。すなわち、第一に「銀行業務の効率 化」に伴う諸影響、第二に金融新商品開発の進展伴う「銀行機能の分解」ない し「金融仲介機能における分業体制の高度化」、第三にネットワーク化進展の 影響である決済機能の高度化伴う銀行機能の変化・高度化である。いうまでも なく、これらの現象は独立した動きではなく、相互作用をして金融の姿を変え てきている。

(3)については、わが国の公的当局または銀行業としての対応の仕方を考察 する。ここでは、戦後日本の金融行政の特徴である護送船団方式による政策は、 銀行業が情報処理産業・通信産業といった性格を強めるなかで、その問題点が 一段と大きく露呈してきたことを説明する。そして今後、日本の金融行政が個 別金融機関の安定性だけを追求するのではなく、金融組織全体としての効率性 及びその基礎である競争または創意工夫を支援する環境作りをも視野に入れた 政策運営に転換する必要があることを述べる。





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Hidefumi Watanabe
Sat Jan 6 19:31:05 JST 1996