インターネットの潜在的影響力



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インターネットの潜在的影響力

インターネットとは、「コンピュータネットワークのネットワーク」と定義さ れる。つまり、複数のコンピュータネットワークが機種、規模に関わらず、 TCP/IPと呼ばれる技術群によって相互接続された分散型ネットワークの集合体 であり、主に学術・研究分野で利用されている。1995年6月現在、全世界 で12万以上のネットワーク(ドメイン)、600万台以上のホストコンピュー タが接続され(図6参照)、利用者数は推計で5000万人以上とも言われて いる。さらに、接続されているコンピュータの台数、ネットワークの数、通信 量のいずれの面でも全世界で月平均10〜15%、つまり年に200〜400 %もの爆発的な成長率を続けている。 gif

ここで、本論でインターネットを扱うスタンスを明らかにしておきたい。 なぜなら、インターネットに関する研究は非常に幅広い分野からなされている。 しかし、あくまで本論では「情報技術革新は金融に何をもたらしたか? 」と いうテーマにのっとって論を進めている。ここでは、そのテーマに含まれる範 疇からのみ、インターネットを扱う。

インターネットは時間や空間を越え、組織の壁を貫き、さまざまなパラダイム を変えてきた。つまりインターネットの本質は、そのテクノロジーの側面に加 えて、テクノロジーが社会と人間に貢献する無限の可能性を秘めていることにあ る。インターネットは情報や情報通信、そして人間によって織り成される巨大 なネットワークであり、そこではどのような団体、個人、あるいはコンピュー ターでも瞬時に他の団体や個人、そしてコンピューターを発見し低いコストで 情報のやりとりを行なうことが可能である。およそ2千万人の人間と1千のプ ロセス、さらに約200万のコンピューターがすべて共通の情報空間に存在し ている。ところが、注目すべきなのは、その壮大なる規模よりも実際にこの網 の上で何が行なわれているかなのである[9]

筆者は、上記にあるような考えにのっとり、ここでインターネットを扱う。そ して、「この網の上で何が行なわれているか」を金融という切口から考えてみ たい。金融の中でも特に、インターネットにおける決済サービスの展開について 分析していく。



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Hidefumi Watanabe
Sat Jan 6 19:31:05 JST 1996