インターネットにおける決済サービスについて触れる前に、どのような場面に おいてインターネットにおいて決済が必要とされるのか、インターネット における決済サービスとは何なのかを考えてみたい。
当初におけるインターネットの利用は、AUP(Acceptable Use Policy)にのっと り、学術利用に限られていたが、1980年代前半から米国ではインターネッ トの商用利用が開始された。そして、インターネット上に店舗に代わる販売チャ ンネルを構築すること(インターネット上でのオンラインショッピング)が実 用化されている。
わが国においても、CBCB(サイバービジネス・ケースバンク)の調査に よれば、1995年に入ってから、インターネット上に店舗に代わる販売チャンネ ルを構築する(インターネット上に出店する)業者が急増している(図7参照。 図8:インターネット上に出店している業者のホームページ)。
わが国において、インターネット上でオンラインショッピングを行なう業者の 多くは、まず商品情報をWWW(World Wide Web)上でマルチメディアな情報によ り、公開する。消費者は、WWW上にある商品情報を入手することにより、商品 を買うかどうかの選択を行なう。そして、買う選択を行なう場合、その商品を オンラインで、発注を行なう。発注には、インターネットを用いた発注形態と しては、電子メールによる発注、Form入力による発注などが存在する。
また、ユーザーの決済方法については、CBCBの調査によると、図9のように なっている。
この分類による1については、業者側の現金書留の送り先の住所をインターネッ トにおいて公開しているのみ、2、3については口座番号をインターネットに おいて公開しているのみ、4については、インターネットは特に関与していな い、という意味でインターネットにおける決済サービスとは定義しがたい。5 については、カード番号などのセキュリティー上重要度の高い情報を交換しな ければならない。インターネットにおけるクレジットカード決済における セキュリティ確保の方法として、CBCBの調査では、図10のように なっており、現状では必ずしも十分に安全対策が講じられているとはいいがたい。
以下では、このような日本の現状を踏まえた上で、インターネットにおける決済とは どのようなものなのか、また、インターネットにおける決済の研究開発動向、今後の 展望などについて触れていきたい。