技術革新の金融へ与える影響として、銀行業務の効率化だけではなく、銀行の ありかた自体の変革をせまる「銀行機能の分解」という点も指摘されている [2],[3]。金融を機能的な側面から考えるならば、図1 7のように分類することができる。その中でも、銀行機能と呼ばれるものは、 金融仲介機能と決済機能である。そのような銀行機能が、情報システム整備に より分解されてくるというのが、「銀行機能の分解」である。
従来、借り手に資金を提供するという与信機能と要求払預金に代表される預金 通貨による資金決済機能を同時に営んでいる金融仲介機関が銀行であり、銀行 は与信機能と決済機能を同時に行なうことにより、範囲の経済(economies of scope)を享受できると考えられてきた。しかし、金融自由化や情報システムの 整備により、情報伝達・処理コストの飛躍的な低下が達成されたことにより、こ うした銀行の捉え方は再考されるに至った[2]。
以下では、金融仲介機能と決済機能の分解に整理し、それぞれの機能 の分解について触れたい。