以上概観してきたのは、主として民間金融機関と非金融部門の決済に関わる部 分であるが、このほかに民間金融機関相互間の決済システムが加わってはじめ て一国全体として完結した決済システムが構成される。後者のシステムは、一 国における最終的な(ファイナリティーのある)決済手段を中央銀行が関与する ことになる。
日本銀行は、近年における金融取引のデータ通信化や決済ボリュームの拡大な どに対応して、わが国金融組織全体における事務処理の効率化、迅速化をはか り、併せて決済システムの安定性確保に資することを目的として、日本銀行金 融ネットワークシステム(略称「日銀ネット」)を構築し、運営している。
日銀ネットは、日本銀行本支店及び日銀ネット利用金融機関等と日本銀行電算 センターとの間をオンライン接続したネットワークシステムである。(図5参照) 現在、日銀ネットの対象となっている業務の概要は以下の通りである。
日銀ネットの利用状況は、平成6年8月現在、485の金融機関などに利用さ れており、日本銀行との間で当座預金取引を行なっている金融機関の約半数、 外国為替円決済制度に参加しているすべての銀行、国債取引事務登録先の約4 割、国債振替決済制度直接参加者並びに入札参加者の約8割が利用している [2][8]。