内外価格差の要因



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内外価格差の要因

では、内外価格差はなぜ生じるのか。短期的要因としては、円高が急速で国内価格の 調整が遅れること、為替レート自体が貿易財の価格よりも割高になることが言える。 ただし、これらはある程度、期間がたてば消えていくはずのものである。 そのメカニズムは以下の通りであるgif

為替レートが増価すれば、第一次的には海外との比較で日本全体の物価が相対的に 上昇する。このとき、貿易財(製造業)については、貿易取引による裁定が作用 するため、国内価格は国際価格にさや寄せされ、内外価格差は縮小していくと考え られる。

一方、非貿易財(非製造業)については、こうした裁定がそもそも作用しにくい ため、内外価格差が残る。サービス価格は賃金の固まりだと考えると、為替レートの 増価によって賃金コストは海外に比して割高となりやすい。すると、貿易財と 非貿易財の平均である物価水準はどうしても割高になってしまう。 事実、内外価格差の短期的な変動は、かなり現実の為替レートに応じて変動している。 アメリカを基準とした内外価格差をみると(図表3)、円安であった80年代前半は 日本の方が物価水準が低かったものの、円高が急激に進行した80年代後半以降は 日本の物価水準も急速に高まり、内外価格差が大きく拡大した。このような現実の 為替レートに応じた内外価格差の動きは、日本だけではなくドイツ、フランス、 イギリスなど他の諸国にも共通してみられる。 従って、国内物価水準が他の国の物価水準に比べて高いからといって、 それが直ちに問題であるというわけではないgif。それは、所得水準の高い国ほど非貿易財部門の物価水準が高いという 傾向がみられるからである。

一般に、発展途上国では先進工業国に比べてサービス価格が著しく安くなっている。 このため、先進国と途上国の間では為替変換された名目所得の格差が、実際の 生活水準の格差に比べて誇張されたものとなっているといわれてきた gif

以上のような要因により生じた内外価格差であれば、経済発展の成果(労働生産性 の高さ)を反映したものであり、ある程度の物価水準の高まりは避けられない。

ここでOECDの調査による実質所得水準と物価水準との関係を見ると(図表4) 、先進国であるOECD諸国については、実質所得水準の高い国ほど物価水準も 高いという一般的傾向が見られ、『生産性の二重構造』は妥当していると考えられる。 しかし、日本はOECD諸国のなかで、実質所得水準では5〜6番目に位置する一方、 物価水準は最も高い国の一つとなっており、傾向線から上方に大幅にずれている ことから、OECD諸国における実質所得水準と物価水準の全体的傾向からみて、 日本の物価水準は、スイスや北欧諸国と並んで、実質所得の水準の割にかなり高い グループに属しており、日本の内外価格差には、経済発展の反映とは言い切れない部分 がある。すなわち、日本の内外価格差には、為替レートの円高要因に加えて、国内の 価格構造の偏りによる要因gifがあると考えられる。

そこで以下では、国内の価格構造に影響を及ぼしている要因のうち、特に重要と 考えられる、低生産性・高価格部門の残存と政府規制、流通の問題、消費者の 購買行動について順次見ていきたい gif




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Hidefumi Watanabe
Mon Feb 19 12:08:57 JST 1996