では、価格に影響を及ぼしている政府規制はどのようなものかをこれから詳しく見て いきたい。
第1に、参入規制が挙げられる。参入規制としては輸入割当等があるが、政府規制 項目のうち、卸売物価統計で国内卸売物価と輸入物価の両データ が採れる品目についてその価格の推移をみると、 例えば1985年から88年にかけて 輸入物価指数が約102から73へと大きく低下した にもかかわらず国内卸売物価指数は約104から100へというように ほとんど低下しなかった(図表7)。 一方、非規制品目については輸入物価指数が1985年から88年にかけて 約105から75へと低下しているとき、国内卸売物価指数も約106から82へと 低下しており(図表7)、規制の有無によって価格に及ぼす影響の違いが 大きいことが見て取れる。
近年、牛肉、オレンジなどの輸入割当がより緩やかな規制となったため、 牛肉やオレンジジュースの価格が大幅に下がっており、規制緩和の効果は 極めて大きいことが証明された。また、同時に、価格支持を行っている豚肉との 価格が接近し、牛肉と豚肉の規制方式の違いが価格に与える影響についても 大きくクローズアップされている。
第2に、料金規制がある。独占公共企業体の価格設定は「コスト+適正利潤率」で 行われるため、企業がコスト削減を行う余地があっても、設定価格が引き下げられたり、 企業利潤が増大するといったことは生じにくい。 したがって、企業のコスト抑制のために、インセンティブ 規制やプライスキャップ制度 などの 導入を検討すべきである。
第3に創意工夫の制限がある。わが国の建築基準法は基本的に建築物の仕様
(設計、材料、工法など)を規定する性格を持っているのに比べ、
米国の建築基準法は基本的に性能(構造強度、防火、耐震など)の規定に
重点を置かれている。規定の性能を実現するための手法は、法規にバリエーションを
持たせて紹介されているので、設計や材料の選択は、要求される性能を満たす限り
原則として自由である。また、
薬事法による安全規則は、欧米と同等な意図を有するものであるが、わが国においては
安全性の担保のための手段が限定されているため、並行輸入がしにくく、
化粧品の内外価格差の一因となっている。