では、なぜ生活関連分野で生産性の向上、コストの低減が起こらないのか。
まず、第1に国際競争からの隔離が考えられる。自転車・家電メーカー等は 円高の中期的な進行のなかでコストダウンに尽力してきているのに対し、 農業、建設業等の分野については、国際競争から隔離されている面が強く、 また、供給者と需要者の間における情報の非対称性(後で詳しく述べる)も あって、生産性向上・コストダウン圧力が働きにくくなっている。
第2に、政府規制などの影響が考えられる。政府規制分野や公共事業においては、 新規参入、柔軟な価格設定、革新的技術の導入などが制限されがちになっており、 これもコストダウンへの取り組みを阻害している。
第3に、上の二つの理由の結果、生活関連分野(その上流の生活関連資材流通 を含む)において、旧態依然とした業界構造・体質や資材流通構造・商慣行が 残存しがちであることが考えられる。
以上の結果、とりわけ生活関連分野においては、生産性向上が立ち遅れ、
また、高コスト体質が温存されてきたといえる。