信用供与のプロセスは5つの行程に分類することができる(図3参照)。 (1)信用の創造(originate asset)、(2)信用を引き受ける (underwrite asset)、(3)貸出金の準備(provide asset)、(4)貸出 (fund asset)、(5)債券の事後的管理業務(service)である 。
従来、銀行はこれら5つの行程を一体化したかたちで信用供与を遂行してきた。 このうち、(1)や(5)といった情報生産に関わる業務は規模(あるいは範 囲)の経済が強く作用すると考えられる。しかし(2)、(3)、(4)はこ れらと一体化する論理的必然性はない。そこで、これらの行程をアンバンドル (分解・分化)することが現に生じてきており、これを信用供与プロセスのア ンバンドリングという。
派生型セキュリタイゼーションとエレクトロニクス化によって可能となった信 用仲介プロセスのアンバンドリングの代表例の一つは、アメリカでみられる貸 付債権譲渡(loan sales)と資産の流動化(asset securitization)からなる 資産売却の動きである。図4では、証券化における証券の流れが現されている。 信用仲介プロセスがアンバンドルされ、それぞれのプロセスはいくつかの 専門化した金融機関によって担われる。同様に図5では典型的な証券化スキー ムの一つであるクレジットカード債権の証券化のイメージを模式したものであ り、資金の流れが現されている 。
本節では、信用仲介プロセスのアンバンドリングについて3.1でホールセール (貸付債権譲渡)、3.2でリテール(資産の流動化)について具体的に検証し、 3.3では信用仲介プロセスのアンバンドリングが金融機関経営上果たす機能に ついて述べる。