日本では、今後、人口の高齢化が急速に進ものと予想されており、高齢期には過去の貯蓄が取り崩されるのであれば、高齢者比率の上昇に伴って貯蓄率が低下することになる。
だが、もう一方では、日本では遺産が残されることが多いことなどから、高齢者の遺産の取り崩しは進まず、マクロ的にも貯蓄率低下のテンポはさほど速いものにはならない、という見方もある。
前者の考え方はいわゆる、ライフ・サイクル・モデルであり、後者が王朝モデルと言われるものである。日本にはこのどちらのモデルが当てはまるかということが、今後の日本の貯蓄率を予想する上で非常に重要なことである。ではまず、この二つのモデルについて詳しく述べることにする。