next up previous contents
Next: β収束性:無条件収束の有無 Up: 内生的経済成長理論から見た東アジアの高成長の源泉 Previous: 内生的経済成長理論から見た東アジアの高成長の源泉

3.1 収束の説明と実証

これまで収束の概念について簡単に触れていたが、本小節ではこの収束をさらに2つの概念へと分類し、実際に東アジアでは収束現象は見られていないのかについて確認することにする.

収束の概念は大きく分けて次の2つに分類されることが多いgif.第1の概念は、貧困の状態にある経済が裕福な経済より急速に成長し、1人当たり所得あるいは産出量の水準の点で、貧困の状態にある経済が裕福なものに追いつく傾向がある場合を指す.この現象は「平均への回帰」と呼ばれ、β収束性に相応している.

第2の概念は、クロスセクションの分散に関するものである.この意味での収束性は、たとえば、1組の国家あるいは地域の一人当たり所得の対数値の標準偏差によって測定される分散の程度が,通時的に低下する場合に成立することになる.このプロセスは、σ収束性と呼ばれている.

そこで、次に収束現象が見れるのかについて実際に分析を行うのだが、ここでは特にβ収束性にのみ焦点をあてることにするgif





Tomoya Horita
1999年11月02日 (火) 15時39分30秒 JST