証券化とは、企業金融が銀行貸付という間接金融を中心に行われてきたものが、 有価証券を発行して市場から直接、資金を調達する直接金融へシフトする現象 である。この現象には2つの側面がある。
第一に、資本市場や短期金融市場から証券を発行することにより資金を調達す ることである。この方法では、銀行貸出といった金融仲介を受けない。コマー シャルペーパーや社債の発行による資金調達がそれであり、従来型セキュリタ イゼーション(primary securitization)といえる。
第二に、企業や銀行がその資産の一部を分離してプールし、経営体としての企 業や銀行を信用力の源泉とするのではなく、分離された資産が生み出すキャッ シュフローを信用力の源泉として資金調達を行うことである。この形態でのセ キュリタイゼーションは派生型セキュリタイゼーション(secondary securitization)といえる。
このうち、従来型セキュリタイゼーションは銀行に対する証券業務のニーズを 発生させるのでユニバーサルバンク制度の必要性を喚起し、派生型セキュリタ イゼーションは信用仲介プロセスのアンバンドリングという新しい金融仲介の 手段を生みだした。