わが国の銀行による国際業務の拡大は、1980年以降急速な勢いで進展した。 この背景としては、次の2点が挙げられる。第一に、日本経済の発展・成長と ともに日本の銀行の経営基盤がより堅固なものとなり、国際業務遂行上必要な リスク負担能力を兼ね揃えるようになった。その一方で、国際金融市場におい ても80年前後を境として次第に高い評価をえるようになり、そうした中で取 引上の地歩を固めてきた。第二には、80年12月の改正外為法施行に伴い資 本取引が自由化されるなど、制度面での制約が大幅に緩和された。
このような事情を背景として海外の現地企業や政府機関との取引が拡大し、外 国政府等を借入人とする国際的な協調融資団(シンジケートローン)の組成・ 参加に積極的に関わっていった。このような国際業務の拡大とともに、世界全 体の国際金融取引における日本の銀行の比重も急速な勢いで増大していった。
それに伴って、最近では金融取引における物理的時間や国境の壁が大きく低下 している。各国の金融機関、企業、政府等は世界中の金融市場に参加のうえ各 種通貨建てで資金の調達や運用を24時間いつでも行いうるようになっている。