金融の自由化が1980年代以降大きく加速した基本的背景としては、日本経 済の安定成長への移行に伴う金融環境の構造変化に伴い、競争制 限的規制色の強い金融制度のあり方自体が変質を迫られるようになってきたと いう事情が指摘できる。すなわち、金融機関に対する競争制限的規制が維持さ れる中にあって、相対的に規制の緩い金融部門において金利の自由化が先行的 に進展し、企業や家計に対しては証券会社、保険会社といった預金取扱金融機 関以外の機関がより有利な資金の運用・調達機械を提供しうるようになった。 その結果、預金取扱金融機関の資金調達・運用上の競争力が低下し、預金・貸 出市場におけるシェアの低下を余儀なくされた。
こうしたなかで、行政当局も銀行法の改正(1980年)を含む金融制度全般 の見直しに着手し、預金金利自由化、貸出金利設定方法の見直し、業務規制の 緩和・自由化が進展した。