金融の自由化、グローバル化、証券化、エレクトロニクス化は、従来のような 銀行貸出の増加に依存した収益拡大を困難にする一方で、顧客ニーズの多様化をも たらした。
企業金融は、証券化によって間接金融から直接金融にシフトするだけでなく、
エージェンシー問題のように株主をも重視したものである必要性
が
でてきた。こうした状況下において、趨勢的にみて、大企業の資金調達に占め
る銀行借入れの割合は減少傾向にあり、一方ではより複雑化した顧客ニーズに対
応するためには、総合的かつ質の高い金融サービスの提供が不可欠になりつつ
ある。
アメリカでは、銀行の金融サービス全体に占める資産規模のシェアは低下して おり、従来型の預・貸金業務は他の金融機関との競争にさらされ利益が薄くなっ ている。銀行は斜陽産業であるというような議論もされるが、実際にはオリジ ネーターやサービサーとしての役割を大きくし、また証券・信託・保険をも含 んだサービスを顧客に提供することによって、一層活発な企業活動を行ってい る。日本でも高齢化や資産のストック化により、保険の資産が相対的に大きく なってきている。わが国も、金融仲介機能の提供をめぐる分業体制の高度化や 総合金融機関となることによって、新たな収益源を模索して行く必要がある。