コンビニは料金収納代行業務を行っている。例えば、公共料金の収納代行は1987
年10月にセブン−イレブンが東京電力の電気料金を取り扱ったのが始まりである。
当時約1800万件のユ−ザ−の中で、伝票を銀行や郵便局に持ち込んで支払う約1
6%の顧客に対してサ−ビスレベルを高めようという、東京電力の基本的な考え方に
共感したために始めた。そのうえで、伝票に3か所のバ−コ−ドを付け、それをレジ
でスキャナするだけで、清算できる仕組みを作ったのだ。その利便性が広く支持され
て、その後は多くのコンビニでさまざまな料金が収納できるようになっていったので
ある。1987年の電気料金収納代行の後は、1988年にガス料金収納代行(東京
ガス)、1990年にNHK受信料・NTT料金収納代行、1991年に水道料金収納代行
(大阪府堺市)、1995年通信販売代金収納代行、と続々と料金収納代行サ−ビス
が提供されることによって利便性をましていったのである。
1件あたり10円かそこらの手数料収入はあるものの、旧来受付けてきた銀行に
とっては、窓口で公共料金を処理すれば、それだけで大幅な採算割れであった。そ
れをひきうけたコンビニにとっては、決して儲かるビジネスではなかった。しかし、
便利な店との認知度が上がれば、ストアロイヤルティが上がったのである。昨年5月
から取扱いが認められた切手・はがき・収入印紙も同じである。微々たる手数料収入
に甘んじ、しかも規制が残った結果、それぞれの店が個別に郵便局から仕入れる手間
をかけてまでこれらを販売しているのは、近くでいつでも、という顧客のニ−ズが
あるからにほかならない。
当初は顧客への奉仕的意味合いが強かった公共料金の取扱いだが、1996年度
にはセブン−イレブン約7000店だけで3800万件、2750億円の実績を
上げた(資料1-14参照)。コンビニ全体では年間約1兆円を処理するといわれており、サ−ビス開始
以降、既存のもので年間3割、新規取扱いを含めれば年間5割のハイペ−スで伸び
続けている。大手チェ−ンでは手数料収入だけで年間数十億円を計上している。銀行
の聖域といわれてきた決済業務だが、コンビニは既に参入して一角を担っているので
ある。