流通業の中でも本稿ではコンビニエンスストアについて取り上げる。現在、コンビニ
の総店舗数は約4万6000(マニュファクチュラ−・コンビニエンス・リサ−チャ
−調べ)店である。単純に人口に換算しても、すでに2600人に1店の割合で存在
しながら、現在も1日10店近いハイペ−スで出店は続いている。
1974年のセブン−イレブン(当時ヨ−クセブン)第1号店からわずか23年で、
コンビニは年商7兆2000億円の一大小売業態に成長した(資料1-13参照)。小売業全体に占める
シェアは約6%と、まだまだス−パ−(約21%)や専門店(約42%)に及ばない
が、百貨店の約10兆円の売上高を追い越す日がやがてくるかもしれない。一方で、
コンビニの売場面積はわずか30坪(100平方メ−トル)。この狭くて限られた
スペ−スには、約3000アイテムの選ばれた商品が並んでいるのだが、そのすべて
について、販売状況がPOS(販売即時管理)システムで単品ごとに管理されており、
その情報に基づいて年間で約7割の商品が入れ替えられる。
圧倒的な店舗数に加えて、高度な物流システムが、コンビニのチャネルとしての
魅力を高めている。大手コンビニの加盟店に納められる商品は、基本的に各チェ−ン
ごとの共同配送センタ−を経由する。メ−カ−や問屋から卸された商品は、そこで
店ごとに仕分けされ、温度帯別のトラックに乗って、店に配送される。この効率的な
仕組みができる前はメ−カ−別、商品別に運ばれたため、トラックが一日何十台も
店に横づけされていたという。弁当ならば午前10時発注した商品が、早ければ夕方
6時の便に乗るというスピ−ドもさることながら、商品が店に納品される時間が予定
から30分と狂わず、加盟店が作業スケジュ−ルどおりに商品を陳列することができ
る仕組みは秀逸である。
コンビニはニ−ズがあっても顧客の手が届かない、といった潜在化している需要を
顕在化することで新商品・サ−ビスを採用するかどうか決めている。店舗をコンピュ
−タでネットワ−ク化し、商品政策のパワ−をいかに一店一店に具現化できるかを追
求している。マ−ケット本位で考えていることがコンビニの成功の鍵といえるので
ある。