消費者がコンビニエンスに期待するのは、やはり24時間開いているという時間と、
近くにあるという距離における2つの利便性である。コンビニで扱ってほしい商品と
しては、宝くじや、低金利の時代だから銀行の預金金利よりも魅力のある証券会社の
中国ファンドのキャッシング機などをあげるひともいる
。
アメリカではス−パ−マ−ケット内にある銀行の有人小型店舗が成功を収めた。それ
は、この新しい形の店舗が顧客の生活にとっての利便性に見事に合致したからである。
併せてス−パ−のレジでは、クレジットカ−ドもデビットカ−ド(銀行口座から利用
代金が即座に引き落とされるカ−ド)も使える。しかも、デビットカ−ドについては
、何度使っても1か月で1ドル程度の手数料しかかからない。デビットカ−ドを使って
レジで現金を受け取る(同時に銀行口座から引き落とされる)ことも可能だ。ここで
は、消費行動と金融行動の流れが一体化している。日本では、小口決済を中心に現金
決済が行われている。デビットカ−ドやクレジットカ−ドは、いまのところ使える場所
も限られており、顧客の立場からみた利便性は小さい。たとえばIC付きのカ−ドが
普及すれば、カ−ドリ−ダ−を使って、自分の口座からICカ−ドに資金を移すことがで
きる。つまり、現金を持ち歩かなくとも、買物代金はここから決済され、いわば財布
代わりになるのだ。ただし、カ−ドリ−ダ−を設置する側の店にしてみれば、投資に
見合った利用度があるかどうかがネックとなる。どこの店舗でも使えるカ−ドであれ
ばカ−ドホルダ−も増える。そしてユ−ザ−が増えれば店としても投資する価値が
でてくる。電子マネ−が普及する際には、約5万店のネットワ−クを誇るコンビニの
出方で方向が決まるのである。もし、コンビニが電子マネ−に乗り出したら、本格的
に決済分野においてコンビニの存在が大きな地位を占めるのである。
すでにインタ−ネットの急速な普及に代表されるネットワ−キングの進展が始まっ
た。この大きな環境変化は、流通業に新しいビジネスチャンスをもたらす。エレクト
ロニック・コマ−ス、サイバ−モ−ルなどのコンセプトは、流通企業にとってその
領域を拡大し、消費者にさらなる接近を行うために有効なテクノロジ−であること
が明らかになってきた。同時にメ−カ−、卸売業、小売業という商流の概念も大幅に
代わり、競争相手も変化する。すなわち、従来の事業ドメインにかかわらず、消費者
への接近に関しては同一の競争条件になってくる。コンビニには、決済分野のほかにも、コンビニの持つネットワ−クと
ニ−ズに対応するノウハウをいかして提供できる金融サ−ビスは数多くありそうであ
る。