主な要因としては、譲渡所得税(含住民税)、相続税・贈与税、借地借家法が挙げられる。これらが、住宅から他の資産への転換にコストを発生させ、不動産の流通を阻害している。
所得税は、不動産の売却時に発生した譲渡所得(売却収益ー購入原価ー特別控除)に課税される。居住用不動産であれば特別控除は3000万円である。その不動産に対する保有期間が10年未満であれば、譲渡所得には52%の所得税が課せられる。また保有期間が10年以上であれば、その所得の6000万円までに14%の低税率が、残りには20%の税率が適用される。
相続税は、実物資産と金融資産の扱いがまったく異なる。金融資産は原則的に時価で評価されるが、実物資産は低く(約5割といわれている)評価される上に、軽減措置も設けられている。よって、同じ額の資産であっても、資産によってその評価が異なってしまい、資産を土地として保有していた方が有利である。
借地借家法も土地の流通を妨げている。借地人・借家人側の権利は強く保護されている。例えば借地権は、土地自体の価値の半分以上を占めるものととされていた。したがって、土地の価格の半分以上を借地人に支払わないと立ち退かせることができない。また借家権も保護されている。そのため、借地人・借家人のいる不動産を売却できないことが多い。