資本や労働力などの投入量を見る場合,その稼働率や労働時間,労働日数などの効率性を考慮に入れる必要があると考えられる.というのも,経済の効率性がが低下している時に,資本の稼働率や労働時間を考慮に入れなければ,投入物の寄与を過大評価指定しまう可能性があるからである.
けれども,今回の推計ではそれ程重要ではないと考えられる.1つ目の理由は、Young(1994)をはじめとするその他の研究においては,経済の効率性を除去するなどの操作を行ってTFP寄与の推計を行っているが、結果に違いは見られないからである.おそらく、今回の推計でこれらの要因を除去したとしても、大きな違いは見られなかっただろうと思われる.
2つ目の理由は、経済の効率性の変化はどの経済地域でも見られることである.よって、TFPの推計値自体を問題にするのではなくて、国ごとの比較を行い,その相対的な大きさを検討している今回の分析においては、経済の効率化がTFPに影響を与えていようと与えていまいと、相対的に見る段階でその効果は相殺され、結果として見られる国ごとの相対的な順位関係は変わらないと考えられる
ただ,この点には注意が必要である.もし経済成長率に占めるTFP寄与の大きさを問題にするなら、経済の効率性による効果の有無は、重要なカギを握るのではと考えられるからである.そこで,経済の効率性を含めた推計を行うことにするが,この推計は次小小節の推計に含めて行うことにする.