いままで見てきたように金融サ−ビスと一口にいっても多岐に渡っている。そこで
近い将来、多岐に渡る金融サ−ビスを提供する金融機関のタイプも多様化すると考え
られている。
金融機関のタイプとしては、デパ−ト型、ブティック型、会員制クラブ型、ディス
カウントショップ型、コンビニエンスストア型があげられる。デパ−ト型というのは、
預金、株式、投資信託、保険、その他の先端金融商品など幅広いサ−ビス、アドバイ
ス機能付きの金融機関である。ブティック型というのは、特定分野の商品の品ぞろえ
が豊富で高度なコンサルティング機能が充実している金融機関である。会員制クラブ
型というのは、カスタムメイド(注文制作)の商品を提供し、資産運用だけでなく
顧客の幅広い生活設計を支援する金融機関である。ディスカウントショップ型という
のは、株式、投資信託、先物などハイリスク・ハイリタ−ン型商品が中心で、取引手
数料が格安の金融機関である。コンビニエンスストア型は、現金出し入れ、預貯金商
品、支払い代行が主流で、セルフサ−ビスで、店舗数が多く24時間サ−ビスを提供
するような金融機関である(資料1-15参照)。
金融機関がこのように多様化するだけでなく、金融業自体が変化していくのである。
自由化とテクノロジ−の進歩によって、いままでのように金融サ−ビスをうけるため
には金融機関に行かなければいけないという必要もなくなった。そのため、他産業の
進出の章で見たように、金融業以外の産業もその産業の特性を生かして金融サ−ビスを
提供しはじめている。これからは、金融業とその他の産業という区別ではなく、他産業
からのいままでの金融業の分野への参入と新たな金融サ−ビスの創造と提供で、金融
サ−ビス産業が形成されている。そしてさらにそのまわりに、エレクトロニックコマ
−スのようなグレイゾ−ンが広がっていくものと考えられる。
日本とアメリカの当局もこのような金融革新の動きを促進する姿勢である。日本銀行
は、民間部門の創意工夫を支援していきたいと考えていると総裁講演で明らかにしてい
る。アメ
リカの連邦銀行グリ−ンスパン議長も、金融革新を助長していくとの姿勢を明らかに
している。