商社はもともと実績と能力があり、自由化によって参入してくることになった。金融
サ−ビスの中での商社が取り組んでいるような、保険、ヘッジファンドは日本の金融
機関がそれほど強くない分野である。そこに商社が参入してくると、資産運用面での
かなりの部分を商社が占めることにもなる。
商社が商品ファンドの次に考えているのが、投資顧問、投資信託への進出である。
ロンドンでは投資信託をデパ−トで売っていることから、住友商事は自前で作った
投資信託をやがては同社の通信販売やス−パ−、CATVのネットワ−クで売りたいと
考えている。
丸紅は、商品ファンドと並んでプロジェクト・ファイナンスの債権を証券化して
販売することを考えている。商品ファンドと違い、証券を販売するには、証券会社の
ライセンスが必要だから、証券会社の買収を検討中ということである。ライセンスだけ
が欲しいため、買収金額も10億円程度で考えている。なぜなら証券化商品は
ダイレクトメ−ルやインタ−ネットで売る予定であるということである。
三菱商事などは、複数企業間の売買取引を電子化し、オンラインによる受発注処理
、銀行決済を実現する企業間電子取引に取り組んでいる。
このように商社は個人、ビジネスユ−スをとわず個人1200兆円、公共・企業
部門を含め1800兆円に上る
金融資産の運用ビジンスに乗り出している。今後は、いままで証券会社や保険会社が
提供していたサ−ビスを商社が提供するというよりも、商社が証券会社と保険会社に
いままでなかったような新たなサ−ビスを作り出して、自ら商社の金融市場を作ってい
くように思われる。