電気通信産業には以下の特質がある。(1)通信
ネットワ−クへのアクセスと、そのネットワ−クを通じての通信という2つのサ−ビ
スを提供する。(2)サ−ビスの生産・流通・消費に膨大な固定資産を地域に固定して
建設する必要がある。(3)双方構成のためネットワ−クの加入者数が多くなれば既存
の加入者にとっても利用価値が増加する外部性がある。(4)需要即供給で貯蔵ができ
ないので需要のピ−ク・オフピ−クに適合したサ−ビスの供給が必要となる。(5)コ
ンピュ−タ技術との融合、光通信など技術革新のスピ−ドが速い。(6)高度情報社会
におけるインフラストラクチャ−として基幹産業に、また経済のソフト化・サ−ビス
化と関連して戦略産業となりつつある。
電気通信産業も需要(多様化)・供給(技術革新)の両面から変化を遂げ、独占から
競争へ大幅な政策転換が行われてきた。1990年代以降、マルチメディア化、パ−ソ
ナル化などが進み、いつでも、どこでも、だれとでもどのような情報でも送受できる
高度な電気通信が実現されると思われる。電気通信産業は生活、ビジネス、産業構造の
あり方を一変させるとともに、グロ−バルな地球的規模の一体化を促進する役割を
果たすであろう。
電気通信産業のサ−ビス供給主体は電気通信事業者である。電気通信事業者の区分
は、自ら電気通信回線設備を設置してサ−ビスを提供する第1種電気通信事業者と、
第1種事業者が設置した電気通信回線設備を借りてサ−ビス
を提供する第2種電気通信事業者に分類される。さらに、第2種事業者は特別第2種
事業者と一般第2種事業者に分けられる。特別第2種事業者は、不特定多数の利用者を
対象とし、かつ設備の規模が1,200b/s換算で500回線を超える事業者、あるいは
国際間の通信を取り扱う事業者を指し、それ以外は一般第2種事業者に分類される。
平成8年3月末現在において、第1種事業者は126社、特別第2種事業者は50社、
一般第2種事業者は3084社に上っている。
電気通信事業者の提供する基本的な通信サ−ビスには、電話、ファクシミリ通信、
移動通信(携帯・自動車電話、PHS、無線呼び出し等)、専用(一般専用、高速デジ
タル伝送等)、デジタルデ−タ伝送(パケット交換、フレ−ムリレ−、回線交換等)、
ISDN、衛星通信の各サ−ビスがある。また、業務的な処理を加えたサ−ビスとしては、
受発注デ−タ・物流デ−タ・資金決済デ−タ等の伝送・交換、パソコン通信、プロバ
イダ−(インタ−ネットへの接続事業者)によるインタ−ネットへの接続サ−ビス
などのサ−ビスが提供されている。