決済の方法
ネットワ−ク固有の電子現金方式の決済システムの具体的な例として、デジキャ
ッシュ社のe-cashの決済の方法を見ていくことにする(資料18参照)。
まず(1)デジキャッシュ社は、金融機関にe-cash関連業務を行うのに必要になる一切の
ソフトウェア、ノウハウ等についてライセンスを供与する。(2)個人ユ−ザ−は、デジ
キャッシュ社からエンドユ−ザ−用e-cashソフトウェアを無料もしくは非常に安価な
値段でインタ−ネット上でダウンロ−ドしてくる。(3)アメリカドル100$を支払い
に充てたいアメリカ在住の個人ユ−ザ−Aがいるとすると、ユ−ザ−Aはe-cash関連
業務のライセンスを持つアメリカのB銀行にあらかじめ口座を開いておく。(4)ユ−ザ−
Aはアメリカドル100$をe-cashにしてほしいとB銀行に依頼する。(5)B銀行は依
頼のあったユ−ザ−Aの真正性を確認のうえ、アメリカドル100$分のe-cashをオ−
ソライズする。そしてこれをインタ−ネット上でユ−ザ−Aに知らせる。同時にユ−ザ−
Aの口座からアメリカドル100$を引き落とす。(6)ユ−ザ−Aは、オ−ソライズさ
れたアメリカドル100$のe-cashを任意に小分けし、インタ−ネット上で業務を
営む複数の店舗や個人に、情報や画像、ソフトウェアなどを購入した見返りとして
支払うことができる。ここでは、イギリスのソフト会社Cのオンラインショップで
アメリカドル50$のソフトを購入することにした。(7)Cは、e-cashのライセンスを
うけたイギリスの銀行Dに口座を持っている。またデジキャッシュ社より、e-cashによ
る支払いを受けるためのソフトウェアを入手している。これにより、インタ−ネット
経由でCのオンラインショップにアクセスした客は、気に入れば瞬時にe-cashによって
支払い、目的のソフトをダウンロ−ドできる。(8)Cがユ−ザ−Aからアメリカドル50
$分のe-cashを受け取るに際し、Aの真正性、額面改竄の有無等をe-cash店舗用ソフト
によってチェック。問題がなければ、商取引が成立する。(9)Cはこのe-cashをインタ−
ネット経由でD銀行に送る。D銀行は再度厳密にこのe-cashの真正性などをチェックし、
問題がなければ、Cの口座に所定のレ−トで換算したイギリスポンドを入金する。(10)
アメリカB銀行とイギリスD銀行は、複数ユ−ザ−による複数のe-cash取扱いについて
一括で決済する(以上(1)から(10)までの処理についての詳細は、「電子貨
幣ecashは日本で可能か」『金融ビジネス』1995年3月号のp37の表を参照のこと。)。
以上の処理は、随分と煩雑に思われるが、各段階の処理はコンピュ−タとネットワ
−クを使って行われるため、10〜30秒もあれば済んでしまう。
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