特徴


 新しい形態の電子現金は、暗号技術を使って銀行の署名を電子的に施した「0」と 「1」の2進数表現からなるディジタル情報である。電子的デ−タであるから、たとえ 海外であっても、電子ネットワ−ク内を瞬時に移動できるモビリティをもつ。その 反面、偽造やコピ−は簡単にできる。金(gold)と違い紙幣と同様に、それ自体には 表記されている金額だけの価値がないため、偽造によって第3者が不当に利益を得て 、通貨システム、ひいては金融システムを混乱させる危険を伴う。したがって、 偽造やコピ−を難しくすることが、新しい現金を実現させる際の鍵を握っていると いうことができる。偽造を防ぐために電子現金では、電子署名と呼ばれる暗号技術が 使われており、技術的には現在の紙の紙幣よりはるかに偽造が難しくなっている。し かし、ディジタル情報であるがゆえに、完全なコピ−の作成が容易である、という欠 点がある。消費者が、手持ちの電子現金をコピ−して、複数の店舗に支払う、いわゆ る2重使用を防ぐことがひとつの重要な技術課題となっている。
 また、電子現金は、クレジットカ−ド方式のようにクレジットカ−ドを所有し ていなくても使用できる(その詳細は資料15を参照)。ICカ−ド方式のよう にカ−ドやカ−ドリ−ダ− といったハ−ドウェアを整備する必要がない。すなわち、電子現金による支払い・ 受領のニ−ズを感じている双方とも、すでにインタ−ネットの接続環境をもってい るわけだから、別途ハ−ドウェアを購入する必要がないというわけである。インタ− ネット自体をインフラとするため、インフラ整備の投資が少なくて済む点や、ネット ワ−ク上の小口取引きとの親和性が高い点から、課題はあるものの、発展の可能性は 高いと思われる。

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