決済の方法
ICカ−ド方式の決済システムの具体的な例として、Mondexの決済システム
について見ていくことにする。Mondexは現金を持ち歩かずに、銀行が発行したICカ−ド
でショッピングや飲食代金をその場決済、送金するシステムである。消費者はカ−ド
と携帯用のバランスリ−ダ−(残高読み取り機のこと。(パナソニック製=
22グラム,日立製=25グラム))を持ち歩き、BT(ブリティッシュテレ
コムのことで、ナショナル・ウエストミンスタ−銀行とMondexを共同実験。)の公
衆および家庭用電話や銀行ATM(イギリスの銀行のATMは24時間稼働して
おり、当然預金口座からMondex
カ−ドへの引出しも24時間可能である。)でカ−ドに口座から価値を充填してMondex加盟小売店で直接決済できる(資料13参照)。カ−ド入力の上限額は500ポンド(
約7万8000円)。自宅や職場などのMondex対応の電話で自分の口座に振込送信す
ることも可能である。
こうした現金を使わない決済システムは、消費者だけではなく小売店にもメリット
がある。Mondex専用レジを使用すると、小売店にとって負担だった売上金計算が
バランスボタンを押せば瞬時に計算できるからだ。例えば、小銭を扱うハンバ−ガ−
店は、従来、全部のレジの売上金を1時間かけて計算し、それを一括して銀行に
運んだり、銀行の集金時間まで保管していた。しかし、Mondex専用レジの導入で事務
が効率化できた。このほか、デビットカ−ドやクレジットカ−ド利用ではカ−ド
会員の信用照会、サインなどに時間がかかっている。しかし、Mondex専用レジは約
2秒で作業を完了するなど手続きも簡便でスピ−ドアップした。さらに、クレジット
カ−ド利用は、小売店がクリアリングバンクへ代金支払いを請求してから小売店の
口座に請求代金が振り込まれるまで日数がかかる。しかも、小売店はクレジットカ
−ド会社に利用手数料を支払わなければいけない。しかし、Mondexではこういう
煩しさから開放されるのである(資料14参照)。
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