概要
インタ−ネットのユ−ザ−急増に伴い、企業や個人が仮想商店を設け、こ
れによって電子商取引(electronic commerce)を行う試みが増加している。電
子商取引によって財やサ−ビスを提供する場合、その代金の決済もインタ−ネ
ット内で完結させることができれば極めて便利であることから、最近、そうした
代金決済手段へのニ−ズが高まってきており、ネットワ−ク上の決済手段である
「電子マネ−(electronic money)」が注目を集めている。電子マネーとは、簡単
にいうと「現金
と同じ価値を持った電子データ」である。それを決済方法
別にみると、(1)クレジットカ−ド方式,(2)ICカ−ド方式,(3)ネットワ−ク固有
の電子現金方式の3つの方式に分けることができる。電子マネ−を既存の決済シ
ステムと比べた場合、メリットないし利便性は時間・場所にとらわれず、自分の家に
居ながらにして都合のいい時間に決済できる点にある。現在、各種の電子マネ−開
発のプロジェクトが世界中で進められており、いくつかの電子マネ−は、実際にイ
ンタ−ネット上で利用できる段階にいたっているが、現状は、商品の発注はインタ−ネッ
トで行われても最終的な決済は既存の手段(クレジットカ−ド、従って銀行預金等
)に頼っているケ−ス(上記(1),(2)の形態)が多い。その理由は、(a)オ−プンなネッ
トワ−クにおいて情報伝達の安全性(セキ
ュリティ−)がまだ完全でないこと,(b)上記(3)のような電子マネ−の法制度上の位置
づけや法的整備がまだできていないこと、のためである。また、(c)電子マネ
−が決済手段として確立するためには一般的受容性(general acceptability)を得
ることが最も重要な条件であ
るが、まだこれを満たすには至っていないことにもよる。今後電子マネーが普及する
ためには、セキュリティ−確保(暗号)技術の一層の進歩、及びインタ−ネットの一層の普及
が大前提であり、その上に立って一般的受
容性(信用)を持つようになって初めてこれが本格的な決済手段あるいは決済システムとして機能
することになろう。このため、今後の課題は数多い。
キ−ワ−ド:クレジットカ−ド方式、ICカ−ド方式、ネットワ−ク固有の電子現金方式、セキュリティ−、一般的受容性、信用
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