資本のタイプを大きく分類すると次のようになる.1つ目は、金融的意味において資源に対する支配権を意味する資本のことである.2つ目は、国富の尺度としての資本で、土地などの自然資源だけではなく、人的資本も含むことができるものである.3つ目は、他の商品を産出するための生産要素としての資本である.
そして、本稿で推計した資本ストックは、3つ目の分類にあたる経済システムで用いられている資本ストックである.この生産要素は、(1)物的である、(2)耐久的である、(3)再生産可能である、という3つの性質を持つ資産から構成されている.この定義によれば、特許権のような物的ではない無形資産や在庫のような耐久的ではない資産、土地および鉱物資源、天然林といった再生不可能資産は、生産過程にある設備の量とは関係がないためにここには含まれない.
資本ストックは、概念的に粗資本ストックと純資本ストックに分けられる.粗資本ストックは、資本の効率性の低下や陳腐化等を考慮に入れる前のストック概念で、除去される時点までの資本は100%の効率を維持しつづけることを前提としている.これに対して、純資本ストックは現在および将来にわたる資本サービスの産出能力から導き出される価値をもつものを意味し、資本の効率性の低下や陳腐化等を考慮に入れた概念である.