今後はSETのようなクレジット決済のための認証局だけでなく、電子マネー のた めの認証局など、様々な目的に応じた認証局が出現すると考えられる 。本稿では主に商用の認証局について取り 上げてきたが、これからは現実世界と同じように日常の様々な場面で電子的な 認証がおこわれていくだろう。例えばパスポートや印鑑証明など、公的機関の 発行する証明書を電子化して発行する場合も出てくる。このような公共的な用 途で認証を行う場合、中央官庁や地方自治体が証明書を発行することになると 考えられる。例えば、法務省の「電子取引法制に関する研究会」 では個人・法人の登記の際の認証局、 郵政省 では電子郵便等に おける認証局を検討している。
しかしだからといって公的機関が全ての認証業務を担うことはない。商用の認 証局については市場ができつつあることから、その中で競争が行われていくこ とが望ましい。認証局が1社しか存在しないと、認証局の利用者が情報漏洩な どのリスクを避けるために分散しようにもできないからである。また、競争を 通して認証局の技術レベルもも向上していくことが期待される。