普及状況

 クレジットカ−ド方式によるネットワ−ク上での決済の方法は、2つに分類さ れる。1つ目は、決済代行機関 を用いる方法である。代表的な例としては、ファ−ストバ−チャル(First Virtual)社 (http://www.fv.com/)がある。ファ−ストバ−チャル社は暗号技術 を使わずに、電子メ−ルなどの既存の仕組みだけでデジタル商品販売などの少額 クレジット決済を代行するシステムである。「暗号技術などの''難しく、複雑な こと''を避け、クレジットカ−ド番号のような機密性の高い情報をインタ−ネッ ト上には流さず、''簡単に決済できる''」ことをセ−ルス・ポイントにしている ことから、多くの利用者を集めている。なぜなら、インタ−ネット上にクレジット カ−ド番号を流さないことによって、インタ−ネット上でクレジットカ−ド番号 が盗用されるリスクが無いからである。
 2つ目は、暗号化ネットワ−ククレジット方式といわれる方法であり、決済時 において暗号技術(暗号技術のクレジットカ−ド決済への活用について は、発注デ−タと決済 デ−タ(クレジットカ−ド番号、クレジットカ−ドの有効期限など)とを分離して 暗号化し、デ−タの盗用やなりすましを防止するとともに、販売社とクレジットカ− ド会社、金融機関に不必要なデ−タの復号(暗号文を暗号化する前の平文に戻すこ とを「復号」と言う。)を認めないこととする方法が考えられてい る。)を用いる方法である(詳細は、秋本芳徳「ネットワ−ク型電子現 金と既存の決済手段を比較する」を参照。)。代表的な例としては、サイバ−キ ャッシュ社( http://www.cybercash.com/cybercash/)が提供するサ−ビスとSET(Secure Electronic Transaction)(http://www.visa.com/)がある。サイバ−キャッ シュ(Cyber Cash)は デジタル署名(電子デ−タの真正性の確認について は、公開鍵方式の原理を用いて、秘密鍵をもっている人を正当な発信者とみなす方 式が開発されている。)技術(詳細は資料7参照)による個人認証と発注情報の暗号化によるプライバシ− 保護機能を持つ決済サ−ビスである。ベリフォン社の子会社、サイバ−キャッシュ社 が代行サ−ビスを提供。SETは既存のクレジットカ−ドの仕組みを暗号化技術を使って ネットワ−ク上で動く電子クレジットカ−ドとして実現するもの。ビザ、マスタ−な どのクレジットカ−ド会社や、マイクロソフト等の参加により、オ−プン な規格となる方向にある。(サイバ−・キャッシュとSET方式の解説は野 村総合研究所EC研究会「電子決済システムと欧米の実験プロジェクト、モンデッ クスとデジキャッシュの例」による。)
 クレジットカ−ド方式の現状では、(1)手数料がかかるため少額の決済には向か ない、(2)クレジットカ−ドで決済することができるのはクレジットカ−ド会社と契約 している販売社に対する決済だけである、(3)クレジットカ−ドを保有していないイ ンタ−ネットユ−ザ−は利用できない、(4)購買履歴の秘密が守れない、といった クレジットカ−ド決済固有の課題は解消されない。
 しかし、決済方法別にみた3種類の電子マネ−の中ではもっとも利用されはじめ ており、またクレジットカ−ド方式の電子マネ−のサイバ−モ−ルがインタ−ネ ット上で一番品物も豊富である点が特徴である。

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