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結論

今後の高齢化社会に向けて重要なものは、資本ストックであると思われる。しかし、ライフ・サイクル・モデルが当てはまる日本においては、高齢者が貯蓄の取り崩しを行い、貯蓄率は大幅に低下していくと思われる。そこで既存のストックの活用が重要となる。高齢者が保有している実物ストックを、うまく活用していくことが今後の政策の焦点となるのではと私は考える。

実際に、このストックを何に活用してゆくのかということも問題である。介護サービスなどのフローに、このストックを転換しようとしても、よい介護サービスがあるかどうかは疑問である。現実に高齢者は、週に何回病院に通っているのであろうか。きちんとした介護システム等ができれば、高齢者が病院に通い積めることもなくなり、医療費としての支出も抑えられるように感じる。

また、高齢化とストック化は資本収益率を低下させる傾向を持ち、投資家の期待と現実とのギャップを起こし、市場の混乱をもたらす恐れがある。それを避けて、豊かな高齢化社会を築くために、情報開示を含む証券市場制度の整備を行ない、また実際に収益率が高い海外への投資を促進するように、市場の自由化と国際化を徹底すべきである。これを目指したのが、最近話題の金融ビックバンであると思われるが、今後の動向を見てみたいと思う。

また、日本の街は高齢者が住み易い環境だとは言い難い。閑静な住宅街と言われるところでも、道は狭く歩道がないため、車がきたら安心して歩くこともできない。ましてや、足の不自由な車椅子の方などは、出歩くことさえ難しい。高齢化に向けて、年金財政などがクローズ・アップされがちだが、このような点に向けてどのように対処していくかも非常に重要なことではないだろうか。

以上



Fumihito Maegawa
Mon Mar 16 20:15:21 JST 1998