岡部研究会「研究論文概要集」(2000年度春学期) について
岡部研究会では、1998年度春学期以降、参加メンバーが学期中に執筆したすべての研究論文の「概要」を学期毎に一冊にとりまとめて刊行しています。本書は、2000年度春学期のものであり、このシリーズの第5号に該当します。
今学期の研究テーマは、研究会1では「金融研究:情報化の進展と金融業」、研究会2では「日本経済研究:情報技術革新と日本経済」を掲げ、ともに情報化のインパクトを広範に検討することを中心課題としました。今回の概要集は、第3号以降のものと同様、二つの特徴があります。一つは、ここに収録されている論文要旨は、すべて研究報告会議(2000年7月8-9日、湘南国際村で開催)で報告され、そこでの討議を踏まえて改訂されたものとなっていることです。もう一つは、この冊子の刊行が湘南藤沢学会の正式刊行物として発行されていることです。
本書を刊行する理由は二つあります。第1に、各研究の成果の要点を記録しておくこと自体に意味があるからです。第2には、研究テーマとして多様な視点があることを実例で示すことによって、今後議論の糸口を見つけるヒントになることが期待されるからです。なお、個々の論文に対する質問等は、直接執筆者に対して行ってください(電子メールアドレスは各人の名前のあとの記号@sfc.keio.ac.jp です)。
これらのうち最優秀と認められたもの(研究会1および2それぞれ1編)は、従来どおりその論文全体が単独刊行物として湘南藤沢学会より刊行される予定です。なお、これまでの優秀論文は、岡部光明編『金融および日本経済の研究』第1巻(1994-1996年度)、第2巻(1997-1998年度)として刊行されています(メディアセンターに保管されています)。
2000年7月 総合政策学部 岡部光明
目 次
研究会1
都市銀行の経営戦略(鈴木卓実)--------------------1
デリバティブ取引のディスクロージャーと会計制度の問題点(伊藤 淳)---2
銀行が扱う金融商品・サービスのデリバリーチャネルの多様化(小野雅史)--3
銀行の経営資源とROE(嶋 頼彦) ---------- -------4
ナローバンク論についての考察(山口陽平) -- ------------ 5
プライベート・エクイティの発展の阻害要因(吉田俊介) --------- 6
急成長するデリバティブの傾向と特徴(吉田園子) ------------ 7
金融空洞化問題の歴史とその対応(遠藤裕介)--------------- 8
メインバンク関係の経営リスク削減能力について(大井曉道)------- 9
売買回転率でみる短期投資の傾向:投資家教育の重要性(片桐新之介)--- 10
金融環境の変化と市場型間接金融の可能性(浜田紘子)----------11
倒産処理制度の経済分析:民事再生法を中心に(山本洋輔)--------12
デリバティブ取引のリスク評価と会計制度の比較(吉田圭子)------- 13
オープンネットワークにおける電子決済サービスの現状と課題(箱田雅之)- 14
日本経済における情報化とリストラクチャリング(工藤範隆)------- 15
研究会2
日本的雇用慣行と雇用流動化(岩永 祥)---------------- 16
環境政策としての経済的手段の経済効果(鈴木俊介)----------- 17
高齢者の労働参加と年金・雇用保険制度(スノー沙理)---------- 18
1990年代日本の設備投資の変動(高松良光)------------- 19
情報関連投資と労働市場(青柳直樹・永井秀児)------------- 20
ネットワーク経済におけるプラットフォーム型ビジネスの現状と課題(太田麻子)------21
中小企業の研究開発(斎藤洋介)-------------------- 22
香港回帰の経済的衝撃:香港都市国家(鈴木 周)------------ 23
電子マネーがマネーサプライと金融政策に与える影響(吉本荘彦)----- 24
少子化・高齢社会と公的年金制度(割田隆之)-------------- 25
90年代における日米の資本コストと企業競争力(金沢拓朗)------- 26
状態空間モデルによる技術進歩の時系列解析(堀田朋也)--------- 27
日韓自由貿易協定が両国の消費財市場に与える影響の計測(松村音彦)--- 28
自由貿易の実証分析から考察する日韓自由貿易協定(北川英弘) ------29