岡部研究会「研究論文概要集」(2000年度秋学期) について
岡部研究会では、1998年度春学期以降、参加メンバーが学期中に執筆したすべての研究論文の「概要」を学期毎に一冊にとりまとめて刊行しています。本書は、2000年度秋学期のものであり、このシリーズの第6号に該当します。
今学期の研究テーマは、研究会1は「金融研究:情報化の進展と金融業」、研究会2は「日本経済研究:情報技術革新と日本経済」であり、ともに情報化のインパクトを広範に検討することを中心課題としました。今回の概要集は、第3号以降の刊行物と同様、二つの特徴があります。一つは、ここに収録されている論文要旨は、すべて研究報告会議(今回は2001年1月20-21日に湘南国際村で開催)において報告され、そこでの討議を踏まえて改訂されたものとなっていることです。もう一つは、この冊子の刊行が湘南藤沢学会の正式刊行物として発行されたことです。
本書刊行の理由は二つあります。第1に、各研究の成果の要点を記録しておくこと自体に意味があるからです。第2には、研究テーマとして多様な視点があることを実例で示すことによって、今後議論の糸口を見つけるヒントになることが期待されるからです。個々の論文に対する質問等は、直接執筆者に対して行ってください(電子メールアドレスは各人の名前のあとの記号@sfc.keio.ac.jp です)。
なお、これらのうち最優秀と認められたもの(各研究会1編、計2編)は、従来どおり、その論文全体が単独刊行物として湘南藤沢学会より刊行される予定です。従来のそうした優秀論文はすべて岡部研究会のウエブサイトで公開されています。
2001年1月 総合政策学部 岡部 光明
目 次
研究会1
新しい決済手段の現状と課題:デビットカードの衝撃(遠藤裕介)------- 1
メインバンクのコーポレートガバナンス機能について(大井曉道)------- 2
日本企業の I R 活動分析:インターネット利用の観点から(片桐新之介)---- 3
証券業における生産の効率性分析性(駒村 祥)--------------- 4
資金循環の変化と銀行業:課題と迫られる改革(浜田紘子)------- -- 5
銀行における情報システムのアウトソーシング(山本洋輔)--------- 6
コーポレートファイナンスに関する法システムの方向づけ(吉田圭子)----- 7
多様化する銀行サービスと求められる銀行監督:新規参入銀行(箱田雅之)--- 8
電子マネーの特徴、その成長、金融機関および政策への影響(佐藤ひとみ)---9
株式所有構造の変化と企業モニタリングへの影響(石丸達也)-------- 10
環境変化と銀行のデリバリーチャネルの多様化(小野雅史)--------- 11
株価と財務諸表からみる銀行の合併効果(嶋 頼彦) ------- ---- 12
倒産確率モデルによる都銀の合併評価:オプション・アプローチ(山口陽平)-- 13
デリバティブ取引がシステミックリスクに与える影響とその対策(吉田園子)-- 14
銀行の小口決済サービスの展開(片柳 豪) -- -------------- 15
金融政策における資産価格の位置づけ(鈴木卓実)- --- --------- 16
研究会2
会計基準の変更が日本企業に与える影響(金沢拓朗)------------ 17
ベンチャー企業と地域経済(花村憲治)------------------ 18
排出許可証の価格形成に関する確率解析:不確実性の視点(堀田朋也)---- 19
日本企業の海外現地法人の原材料調達先選択に関する実証得分析(松村音彦)-- 20
携帯電話の価格動向とその変動要因に関する分析(橘 清司・鈴木 周)--- 21
中国のWTO加盟に伴う自動車産業の変化(福田暁子)------------22
財政赤字削減シミュレーション(溝本貴洋)---------------- 23
日本の経済格差:所得の二極化の検証(割田隆之)------------- 24
外部性を生じる財の影の価格(シャドゥプライス)による評価方法(鈴木俊介)-25
設備投資理論の整理(高松良光)--------------------- 26
アンチダンピング措置の税水準が経済厚生に与える影響(北川英弘) -----27