1 問題の所在



 今日の経済社会を語る上で、情報化関連産業の急速な成長およびそれに伴う技術革 新の動向は最も重要である。我々を取り巻く経済環境を見渡してみると、コンピュー ターの高性能化・低価格化に見られるような情報処理技術の革新は、企業や一般会計 など、社会のあらゆるレベルに浸透しつつあり、それに伴う情報関連産業の急速な成 長は、経済全体にとって新たな需要要因として経済成長に寄与している。一方、そう した産業の成長は生産過程を効率化するなど経済の供給構造をも変えつつある。ま た、情報関連産業に特徴的に見られるソフトウェアなど、知識や情報といった無形の 知識価値が経済活動に与える影響が増大する「知識集約化(Knowledge-based Economy)」が進展しているとも言われており、日本の政策当局も関心を寄せつつあ る。
 このような「知識集約化」を他の先進諸国に先駆けて経験してきた米国では、情報 化関連の支出や投資が経済活動に与える影響に関する議論が盛んに行われてきた。近 年では情報化関連支出の増大が経済成長率を引き上げる一方で物価の安定化にも大き く寄与しているとの見方(米国経済に関するニュー・エコノミー論)も有力になって きているが、情報技術確信とマクロレベルの生産性の関してはBailey and Gordon(1988), David(1990), Oliner and Sichel(1994), Griliches(1994), Haimowitz(1998)などに見られるように80年代から今日まで研究が行われてきてい る。
 他方、日本について見てみると、情報化投資の経済的な影響を巡る議論はまだ緒に ついたばかりであり、米国のように明確な形で定量的に分析した研究はごく限られて いる。その理由としては、日本における情報化の進展が米国に比べて遅れている事 や、情報化投資についての統計データの整備が米国と比較して進んでいないことが挙 げられる。
 しかしながら、情報化のレベル自体は米国に立ち遅れているとは言え、日本におい ても情報化投資の増加が現実に見られる以上、その経済的な影響について議論する必 要が大きい。

 このような問題意識に基づき、本稿では日本における情報化投資の進展を概観する とともに、成長会計(Growth Accounting)の手法を用いて情報化資本ストックの国内 総生産(GDP)成長率に対する寄与を実証的に分析することを目的としている。
 本稿の特色は次の3点にまとめられる。第一に、産業関連表(Input-Output Table) の固定資本マトリクスを用いて、日本の全産業部門における需要項目としての情報化 投資の推移を考察している点である。これにより、どの産業(または部門)でいつ、ど れだけの情報化投資が行われたかを明らかにしている。成長会計の手法によって情報 化投資の寄与を分析した研究としては、日本については経済企画庁(1986)および松平 (1997)が挙げられる。しかしながら、経済企画庁(1986)の分析では推計の期間が 1965-80年でありやや古い点で難点がある。後に見るように、情報化投資が本格化し たのは1970年代以降である。この点では、1974-93年の期間で推計した松平(1997)が より本稿の問題意識と共通しているといえるが、本稿では推計期間を1972年-95年へ と拡張し、1970年代以降からより最近までの情報化資本の寄与を推計している。第3 に、情報化資本の成長寄与を二つの場合に分けて計測している点である。松平(1997) では、米国における情報化投資の寄与を成長会計で分析したOliner and Sichel(1994)と同様のデータおよび手法を適用し、日米比較を試みている。しかしな がら、松平(1997)では情報化資本全体を対象とした場合の寄与だけがだけが計測され ている。そこで本稿では、情報化資本全体を対象する場合と、コンピュータおよび関 連機器だけを対象とする場合の二通りに分けて計測を行い、それぞれの結果をOliner and Sichel(1994)の結果と比較することで日米の情報化資本の成長率寄与の相違を検 討している。
 以下、第二章では本稿で扱う情報化資本に含まれる機器の定義を行う。また、第3 章では産業連関表の固定資本マトリクスを用いて、日本における情報化投資の推移に ついて考察する。さらに第4章では、日本の情報化資本ストック額を推計し、成長会 計の手法を用いてそのGDP成長率への寄与を分析するとともに日米比較を試みる。そ して最後の第5章では、今後の展望と残された検討課題について整理を行う。

2 情報化投資の定義



2.1本稿における定義

 情報化投資という場合、そこにどのような資本財を含めるかについては様々な考え 方が可能である。コンピュータや通信機器への投資は情報化投資として一義的に捉え ることができるが、電子応用装置や理化学機器といった資本財も講義には情報化関連 機器おして捉えることが可能である。したがって、分析の目的に応じてどのような資 本財を情報化関連機器に含めるのかを検討する必要があろう。
 本稿では二つの理由から、情報化関連機器の定義について、米国の経済分析局 (Bureau of Economic Analysis: BEA)に従うことにした。その理由の第一は、日本に おいて情報化投資に関する体系的な統計が存在しないからである。第二の理由は、情 報化投資の経済的な影響を日米で比較する観点からその定義を共通化する必要がある からである。
 米国のBEAでは「国民所得および国民総生産(National Income and Product Accounts: NIPA)」を算出する際に「情報処理および関連機器(Information Processing and Related Equipment: NIPA)も計算している。松平(1997)はこのNIPA のIPRE分類を日本の産業連関表の19項目に対応させ、日米で情報化投資の範疇を共通 化させていることから、本稿でもその分類に従うことにした。

2.2 産業連関表との対応

 米国のNIPAにおける民間固定資本形成は、資本材のタイプ別に4つの範疇に分かれ ている。このうち、情報処理および関連機器(IPRE)への固定資本形成額は1959年にま で遡及することができる。
 ここではIPREに関連する固定資本形成は、(1)コンピュータおよび関連機器、(2)そ の他の合計として求められている。さらに、(2)その他について細かく内訳を見る と、これはその他オフィス用機器、複写および関連機器、通信機器、装置から構成さ れている。
 この米国統計の定義を日本の1990年産業連関表に対応させると、「情報処理および 関連機器」に該当する具体的な19項目は次の5つの範疇に分けることができる(図表 1)。
 まず、90年産業連関表のコードで、3311-011(電子計算機本体)、3311-021(電子計 算機付属装置)を「コンピュータおよび関連機器」とした。また、3111-092(ワードプ ロセッサ)、3111-099(その他事務用品)を「事務用機器」とした。ついで、 3321-011(有線電気通信機器)、3321-021(無線電気通信機器)、3211-011(電気音響機 器)、3211-021(ラジオ・テレビ受信機)を「通信機器」とした。さらに、3111-011(複 写機)、3711-011(カメラ)、3711-099(その他の光学機械)を「複写および関連機器」 とした。最後に、3331-011(電子応用装置)、3332-011(電気計測器)、3719-011(理化 学機械器具)、3719-021(分析器・試験機・軽量機・測定機)、3719-031(医療用機械機 器)、3019-011(ポンプおよび圧縮機)、3211-031(ビデオ機器)、3211-099(その他の 民生用電気機器)を「装置」とした。また、これら5つの範疇を統合して「情報化資 本」と呼ぶことにする。
 したがって、本稿では、特にこだわりがない限り、上述の5つの範疇を統合した 「情報化資本」への投資を「情報化投資」と呼ぶことにする。
 以下、第3章では日本における情報化投資の推移を産業別に見ていくことにした い。

3 情報化投資の推移



 本章では、産業連関表(基本表)の固定資本マトリクスを用いて、日本における情報 化投資の推移について業種別に考察する。産業連関表(基本表)は、総務庁より5年毎 に発行されており、本稿執筆時点では1990年表までが利用可能である。
 固定資本マトリクスとは、投資主体別(政府および民間企業)に、どの資本形成部門 がどのような資本材をどれだけ購入(資本形成)したかを明らかにするものである。

 本稿では、産業連関表(基本表)の民間固定資本マトリクスを1970年まで遡り、農林 水産業からサービス業までの27部門について、各部門が「コンピューターおよび関連 機器」、「事務用機器」「通信機器」、「複写および関連機器」、「装置」、および それらを統合した「情報化資本」それぞれの項目について行ってきた投資額とその部 門別非住宅固定資本形成に対する比率を求めている。以下、具体的に見ていく。

3.1 第1次産業

 第1次産業(農業、林業、漁業)における情報化投資の進展について見ると(図表 2)、1970年に第1次産業において行われた固定資本形成は1兆1700億円であり、こ のうと約210億円が情報化資本への固定資本形成である。したがって、70年の第1次産 業における情報化投資率(部門内固定資本形成÷情報化投資)は1.79%である。この比 率は75年、80年と低下する傾向にあったが、85年からは上昇に転じている。90年には 約1000億円の情報化追うしが行われ、情報化投資率は3.66%に達している。
 また、資本財別の固定資本形成に対する比率を見ると70年から80年までは通信機器 の比率が最も高く、70年には1.31%、75年には1.48%、80年には1.00%であった。しか しながら、85年以降はコンピュータおよび関連機器の比率が上昇する動きが目立って いる。70年にはわずか0.05%だったその比率は90年には1.37%に達し、情報化関連機器 のうち固定資本形成に対する比率は最も高い。これは農業、林業においてコンピュー タおよび関連危機への固定資本形成が上昇しているためである。その他の資本財で は、装置の比率が近年高まる傾向にある。75年にはその比率は0.27%であったのが、 90年には1.22%とコンピュータおよび関連機器に注ぐ比率となっている。また、事務 用機器、複写および関連機器に対する固定資本形成はごくわずかな比率に留まってい る。
 これらのデータから考えると、第1次産業においても情報化投資は着実に進展して いると言える。例えば農業における情報化投資について見ると、コンピュータおよび 関連機器に対して90年には約334億円の投資が行われた。一見情報化と無縁に思われ るこの部門においても、ここ数年で気象情報や市況情報、さらには栽培技術情報と いった様々な農業情報をコンピュータネットワークで提供する「農業情報サービス」 とでも呼べる試みが数多き見られるようになっている。また、林業部門においても作 業の機械化を促進するとともにセンサー技術および自動盛業システム等の先端技術を 活用した高性能の林業機器の開発・普及が図られていることから、それに伴うコン ピュータ関連の追うしが見られるようになってきている。さらに、漁業分野において は公海上で利用する無線通信機器を中心とした情報関連投資が見られるなど、各部門 それぞれに特徴が見られる。なお、第1次産業の各部門における情報化投資に関して は付論で」その推移について考察をしている。

3.2 第2次産業

 次に、第2次産業における情報化投資の進展について見てみよう(図表3)。第2次産 業の非住宅固定資本形成に閉める情報化投資率は、70年から80年にかけて8.32-9.05% の間で推移してきたが、85年には15.26%、90年にも13.45%と高水準で推移している。  資本財別に第2次産業の固定資本形成に対する比率を見ると、装置が4.50%-9.84%と 最も高い水準で推移している。また、コンピュータおよび関連機器の比率は75年の 0.47%から上昇を続け、90年には4.12%に達している。次に通信機器の比率は、70年の 3.57%以降は0.53-1.94%の間で推移している。最後に複写および関連機器の比率は75 年の0.01%から90年には0.77%へと上昇している。
 また、第2次産業における情報化投資を部門別に見ると、情報化投資率が高いのは 精密機器、電気機械、一般機械部門である。精密機械部門における情報化投資率は 1985年のは45.20%に達し、90年にも33.67%と第2次産業の部門中最も高い水準で推移 している。資本財別に見て部門内固定資本形成に対する比率が最も高いのは装置であ り、85年には35.67%(90年には24.09%)であった。しかしながら、コンピュータおよび 関連機器の比率も70年の0.53%から上昇し、90年には7.48%に達している。
 また、電気機械部門について見ると、情報化投資率は1985年に30.90%に達してお り、90年も24.38%と高水準で推移している。85年には35.67%(90年は24.09%)であっ た。しかし、コンピュータおよび関連機器の比率も70年の0.53%から上昇し、90年に は7.48%に達している。  また、電気機械部門について見ると、情報化投資率は1985年は1985年に30.90%に達 しており、90年も24.38%と高水準で推移している。85年についてみると装置の比率が 17.68%と最も高いが、90年には9.41%へと低下している。一方、80年に2.48%だったコ ンピュータおよび関連機器の比率は85年には8.75%へ上昇し、90年も8.84%の水準で推 移している。これら二つの部門においては(1)装置の比率が高い、(2)コンピュータお よび関連機器の比率が近年急上昇している、という共通の特色が見られる。
 さらに、一般機械部門における情報化投資率を見ると、1985年には25.13%、90年も 19.62%となっている。ここでも装置の比率が高く、85年にも21.75%、90年にも16.40% であった。しかし、精密機械、電気機械部門と異なり、コンピュータの比率は85年が 2.09%、90年が2.47%と低い水準で留まっている。
 このように、情報化投資が高い部門を取り上げてみても、資本財別の比率は大きく 異なっていることがわかる。なお、第2次産業の各部門における情報化投資について は付論で言及することにしたい。
 第2次産業における固定資本形成に対して、装置の比率が他の情報関連機器に比べ て高いのは、第2次産業が素材・原材料を加工・組み立てて財を生産するという正確 を有しており、試験・研究用に電子応用装置や電気計測器、分析器、試験機、測定機 などへの投資が多く見られるからである。
 また、より注目すべき動きは製造業におけるコンピュータおよび関連機器への投資 である。特に製造業における固定資本形成に対するコンピュータおよび関連機器の比 率をみると、概ね75年以降のある時点でその比率が急上昇している。これは、70年以 降の半導体のLSI(Large Scale Integrated circuit: 大規模集積回路)化が進み、コ ンピュータの価格が低下してきたことに加え、石油危機を契機とした製造業全体の生 産合理化・省力化においてコンピュータが活用されたことが理由である。
 こうした環境変化を背景に、製造業はその基本的な機能である(1)研究開発、(2)設 計、(3)生産管理、(4)生産加工、(5)在庫・物流管理、(6)販売管理、(7)経営・生産 計画のそれぞれにおいて、コンピュータの導入を中心とした情報化を進めてきた。
 例えば生産加工についてみると、かつては熟練工を主体として汎用・単純加工機械 が利用されていたが、70年代にはNC(Numerical Control: 数値制御)技術が一般化し た。このNC技術の出現は機械加工工場でのコンピュータによるオートメーションを可 能にしたという意味できわめて重要な出来事であり、NC技術は70年代以降の CNC(Computer Numerical Control)工作機械やFMS(Flexible Manufacturing System) へと広がりを見せている。また、素材型産業においても、鉄鋼業における連続鋳造方 式や、石油精製工程におけるコンピュータ管理化に見られるように、大規模装置をコ ンピュータで管理する動きが70年代以降見られるようになってきている。
 また、設計部門で行われていた計算尺、機械式計算機を用いた設計計算や労働集約 的な製図作業は、コンピュータを用いた数値解析やCAD(Computer Aided Design: コ ンピュータ支援設計)へと進展した。この他、生産管理部門においても、70年代中頃 以降生産管理情報のオンライン化が進展した。さらに80年代以降からは、コンピュー タの更なる価格低下と小型化の波にOA(Office Automation: 事務、管理部門の情報 化)化の流れも加わって、生産管理の分散処理化が進んでいる。
 さらに90年代以降は前述した製造業の7部門をLAN(Local Area Network)で統合した 経営情報ネットワークを作り、コンピュータシステムで管理しようという CIM(Computer Integrated Manufacturing)が注目されている。例えば、本社や最前線 の営業所で受け取った販売・注文情報は生産情報として工場のホストコンピュータに 送られ、ここから書くプロセスコンピュータが自分の必要とする生産情報をダウン ロードして自動機器や機械設備を制御しながら生産を行うといったように、製造から 販売までを一環してコンピュータネットワークで管理・運営する試みが注目を集めて いるのである。
 以上見てきたように、製造業を中心とする第2次産業においては情報化の進展が著 しいことがわかる。

3.3 第3次産業

 第3次産業における非住宅固定資本形成に占める情報化投資の割合は、70年には既 に17.57%に達している(図表4)。その後、85年にはこの比率は19.92%、90年には 16.14%%と一高一低で推移しているが、水準としては第1次産業および第2次産業と比 較しても終始高いのが特徴である。
 資本財別のウエイトを非住宅固定資本形成に対する比率によって把握すると、次の 二点にまとめられる。第1に、70年には6.93%だった通信機器が1990年には3.37%へと 低下している一方で、コンピュータおよび関連機器は70年の4.19%から上昇し、85年 には6.89%、90年には6.45%となっている。第2に、その他の情報化資本については概 ねその比率は横ばいである。装置は85年には6.70%へと上昇したが、それ以外の年は 4.28%-4.62%で推移している。また、85年以降複写および関連機器の比率がそれまで の0.23-0.29%から1.11%へと上昇する一方で、事務用機器の比率が1.40%から0.85%へ と低下している。しかし、85年以降産業分類が変更され、複写機が事務用機器から分 離された点を考慮すると、両部門あわせた比率はほぼ横ばいで推移していると言え る。
 このように、第3次産業においては情報化関連機器に対する固定資本形成が他の産 業と比較して早くから活発であったが、その中でも特に重視される品目が通信機器か らコンピュータおよび関連機器に移ってきたことが見て取れる。
 第3次産業においては、他の産業と比較して早くからコンピュータが利用されてい た。コンピュータは、大量の定型業務処理を行う組織や部門における大量の計数デー タや情報を処理する技術として、まず圧倒的なパフォーマンスを誇った。そして情報 技術の発展に伴って先に見たような生産技術としても応用されるようになったのであ る。
 しかしながら、第3次産業内部でも、コンピュータを導入する産業ないし企業は初 期の段階では大規模な産業や企業が中心であった。その典型的な例として、60年代後 半から70年代前半にかけて行われた銀行の第1次オンライン化が挙げられる。第1次オ ンライン化とは、銀行のコンピュータセンターと本支店の端末を統合し、当座預金、 普通預金などの勘定科目をオンライン処理化する動きであるが、この段階では専ら個 別行内でのエレクトロニクス化に留まっており、ネットワーク化の進展は殆ど見られ なかった。
 この意味で、第3次産業における情報化をより推し進める契機として重要なのは、 71年の公衆電気通信法の大幅改正(いわゆる第1次通信開放)である。これにより、従 来同一企業内でのみ可能であったコンピュータと通信回線を結合したデータ通信シス テムの構築が企業の枠を超えて可能となったのである。また82年には電気通信事業法 が改正され(第2次通信開放)たことにより、いわゆるVAN(Value Added Network: 付加 価値通信)事業が可能となった。さらに85年には電気通信事業法が施行され(通信と自 由化)、VAN事業は第二種電気通信事業(回線利用事業)という扱いを受けるようになっ た。これにより、第1種事業者から電気通信回線設備を借りて、かなり自由なサービ スを提供することができるようになった。VANのサービスは通常(1)基本伝送サービ ス、(2)通信処理サービス、(3)情報処理サービスの3つに分類できるが、これらの サービスが原則自由化されたことにより、自前の技術者やシステム部門を持たない企 業であってもネットワークを構築できる可能性が生まれた。つまり、こうした通信開 放によりネットワーク化が進展したことで、企業が独自にネットワークを1から構築 する必要性が薄まったのである。このため、通信機器への投資が第2次産業全体とし て低下する一方、ネットワークに接続するための端末としてのコンピュータがますま す重要になったのである。
 こうした通信利用の規制緩和とコンピュータの技術革新とが結びつきながら、第3 次産業におけるサービスが劇的に変容を遂げてきた。例えば、金融部門に就いてみる と、71年の第1次通信開放を受けて73年には全国銀行データ通信システム(全銀システ ム)が稼動し、全国の銀行相互間のオンラインネットワークを会して内国為替業務を 迅速かつ正確に行うことが可能となった。また、銀行業務のオンライン化も第3次ま で進み、現金自動支払機(CD)や現金自動受払い機(ATM)のネットワークが進んだだけ でなく、金融機関のコンピュータと企業、家庭といった顧客の端末機を結んだ顧客 ネットワークが拡大した。更に近年ではテレフォンバンキング、ホームバンキング、 インターネットバンキングといった新しい業務が注目を集めており、銀行業はますま す情報産業としての性格を強めている。
 また商業部門(卸売、小売)もますます情報産業としての性格を強めている。商業部 門では80年代にPOS(Point of Sales: 販売時点情報管理)システムの導入が進んだ。 これは商品単位ごとに収集した販売情報や仕入れ・配送などの活動で生じる各種の情 報を加工・伝達するシステムである。また、POSと並行してパーソナルコンピュータ の店舗への導入が進み、在庫管理、温度管理などの情報がLANを通じて店舗と本部で 一元的に管理できるようになっている。さらに業界VANによって小売業とメーカー・ 卸売り業との商取引データのオンライン化が実現され、近年ではEDI(Electronic Data Interchange)への関心も高まっている。
 この他、運輸部門でも鉄道や航空機などの運行管理システムあ予約システム、席客 室在庫管理システムが構築され、物流サービスにおいては受発注、在庫管理情報やマ テリアルズ・ハンドリングのコンピュータ化がなされるなど、情報化が進んできた。 また、通信・放送部門でも、VANやポケットベル、自動車電話といった様々な通信 サービスを実現させるために、後に見るように通信機器を中心とする情報化投資が行 われてきた。さらに、サービス部門でも、情報処理サービスや物品賃貸業を中心とし たコンピュータへの投資が見られるほか、対個人サービスにおいても旅行業、ホテル 業などの予約・発券システムなどにコンピュータが活用されている。
以上見てきたように、第3次産業における情報化の進展は著しい。なお、第3次産業の 各部門における情報化投資の詳細は付論で言及したい。

3.4 まとめ

 本章のまとめとして、全部門を統合したマクロの情報化投資の推移について見ると ともに、第1次、2次、3次産業の情報化投資推移を対比し、との特徴をまとめてみた い。
 全部門を統合して情報化投資率の推移を見ると、次の二点にまとめられる(図表 5)。第1に、民間非住宅固定資本形成に占める情報化投資の割合は1970年には11.61% であったが、1985年には17.15%、90年には14.57%であることから、全産業部門を統合 したマクロレベルで見ても、情報化投資は着実に進展している。第2に、資本財別に 見ると、コンピュータおよび関連機器の比率は70年の2.00%から一貫して上昇し、 90年には5.35%へと上昇している。また、通信機器は70年には4.64%であったが、その 比率は次第に低下し、90年には2.40%になっている。装置に関しては、70年の3.85%か ら、85年には7.55%にまで上昇を見せたものの、90年には5.37%へと低下している。ま た、事務用機器の比率70年の0.95%から低下し、90年には0.62%であった。さらに、複 写および関連機器についてみると、80年までは0.16-0.19%の間で推移し、85年以降は 0.83-0.85%の間で推移している。
 最後に第1次、第2次、第3次産業の情報化投資の推移を対比した特徴をまとめる(図 表6、7、8、9)。第1に、共通の特徴として、時系列的に見て通信機器の比率が低下す る一方で、コンピュータおよび関連機器の比率が上昇している点が指摘できる。第2 に、資本財別のウエイトを産業間で比較すると、第2次産業では装置の比率が他の産 業よりも高いことが見て取れる。第3に、最も情報化投資が進展しているのが第3次産 業であり、その情報化投資率は全部門を合計した情報化投資率を上回っていることが 指摘できる。
 以上、本章では産業連関表の固定資本マトリクスを用いて日本における情報k投資 の進展を考察し、産業あるいは部門別に見た情報化投資の特徴についてまとめてき た。そこから、日本において情報化投資がかなり進展していることを明らかにできた 点で、本稿の分析は有益であると言える。

4 成長会計による実証分析



 第3章では日本においても情報化投資が進展しており、90年には民間部門の非住宅 固定資本形成に占める割合が約15%に達していることなどを明らかにしてきた。とこ ろが、これまでの分析ではあくまで支出面あるいは需要項目としての情報化投資の動 向を考察してきたに過ぎない。しかしながら、情報化投資が日本経済に与える影響を 考えるにはそれだけでは不充分であり、供給側の総資本ストックに対する情報化関連 資本の比率を考えなければならない。

 このような観点から、本章では供給力としての情報化資本のGDP成長力に対する寄 与を、成長会計(Growth Accounting)の手法を用いて実証的に分析する。
 成長会計とは、Solow(1957)によって始めて行われて以来、Denison(1962)、 Jorgenson and Griliche(1967)らによって概ね完成された方法であり、資本、労 働、技術進歩といった生産要素に対して分配された所得のシェア(分配率)によって GDP成長率を分解し、各生産要素のGDP成長率に対する寄与を明らかにする分析手法で ある。また、その特色は成長率の次元においてマクロ生産関数とコンシステントな理 論に基づいて作られており、マクロ生産関数自体を仕様するアプローチと比較して、 より簡単な計算でGDP成長率の変動要因を明らかにできることである。  以下、その方法論について簡単に述べておきたい。

4.1 成長会計の基本式

 分析の出発点として、単純なマクロ生産関数を想定し、資本投入量をY、労働投入 量をL、生産技術の水準をTをすると、実質産出高Yとの関係は次の様に表せる。

 Y = F(K,L,T)   (1)式

(1) 式を時間に関して微分して成長率間の関係式に書き直すと次の式が得られる。

  Y = dY/dK*K + dY/dL*L + dY/dT*T   (2)式

 ここでY=△Y/△tを表す。また、dY/dKは他の変数L、Tが一定の時にKが変化した場 合にYがどれくらい変化するかを意味しており、Kの限界性産物を表す。
 更に(2)式の両辺をYで割り、次式を得る。

Y/Y = dY/dK * K/Y + dY/dL * L/Y + dY/dT * T/Y   (3)式

 要素市場が競争的である場合、各投入物の限界生産物は要素価格に一致する。ここ で資本の実質収益をr/P、実質賃金をw/Pとすると、それぞれdY/dK および dY/dL に 代入できる。
 ここで、

K/Y = K/Y * K/K, L/Y = L/Y * L/L, T/T = T/Y * T/T

 として(3)式を書き直すと次の様になる。

Y/Y = (r/P * K/Y) K/K + (w/P * L/Y) L/L + (T/Y * dY/dT) T/T   (4)式

 これが基本的な新古典派の成長会計方程式である。この式によれば、経済成長率は 所得分配率と要素投入量の伸び率を掛け合わせたものと、投入量の伸びによっては説 明できない残さであるTFP(Total Factor Productivity: 全要素生産性)の伸び率とに 分解される。ここでr/P * K/Yは所得に占める資本の取り分を示す資本分配率を表 し、w/P * L/Yは同じく所得Yに占める労働の取り分を示す労働分配率を示している。 ここで、規模に関して収穫一定の仮定を置くと、資本分配率と労働分配率の合計は1 になる。また、TFPの増加率はそのままYの増加率に反映するのでT/Y * dY/dTを1と定 義する。この方法を用いると、情報化投資の産出高の成長率に対する寄与を簡単に分 析することができる。ここで資本投入Kを情報化資本投入Kcと非常化資本投入Knに分 解するとK = Kc + Kn よりKn = K-Kcと表せる。この関係をもとに上の式を書き直す と次の様になる。

Y/Y = (rc/P * Kc/Y)Kc/Kc + [(r/P*K/Y)K/K ? (rc/P*Kc/Y)Kc/Kc] + (w/P*L/Y)L/L + (T/Y*dY/dT)T/T   (5)式

 ここで、資本分配率をsk、情報化資本の分配率をsc、労働分配率をslと置き、(5) 式を以下の様に書き換える。

Y/Y = sc * Kc/Kc + (sk * K/K ? sc * K1/K1) + sl * L/L + T/T   (6)式

 以上より、実質経済成長率は情報化資本の寄与、非情報化資本の寄与、労働力資本 のGDP成長率に対する寄与を分析していく。

4.2 データの作成

4.2.1 基本的なデータの出所

 本稿で使用するデータの多くは日本の政府刊行物に依拠している。実質および迷妄 の国内総生産は経済企画庁の「国民経済計算年報」の時系列データを採用した。ま た、労働分配率slについては「国民経済計算年報」で推計された値を使用し、資本分 配率skについては経済企画庁と同様に年ごとに1から労働分配率を引いたものとして 計算している。
 また、労働投入量は総務庁統計局「労働力調査報告」による就業者数に、労働省政 策調査部「毎月勤労統計調査報告」による月平均総実労働時間を掛け合わせたものと した。
 ところで、成長会計に使用する資本投入量については、理想的には労働投入と同 様、物的資本サービスのフローを統計的に捉えるべきである。しかしながら、生産仮 定でし様される機械・時間の量は計測することができないため、他の類似研究と同様 にこのフローは資本ストックに比例するものと考える。本稿では経済企画庁「民間企 業資本ストック年報」による取りつけベースの値を採用した。
 さて、以上のデータは刊行されているものであるが、情報化資本ストックおよび情 報化資本の所得分配率についてのデータは整備されていないため、推計を行わなけれ ばならない。
 以下ではその推計作業および結果について簡単に述べることにする。

4.2.2 情報化資本ストックの推計

 Oliner and Sichel(1994)では情報化資本の寄与をコンピュータおよび関連機器に 限った場合や、それらを含む情報化資本全体で見た場合など、いくつかの段階に分け て測定している。そこで本稿も同様に、(1)情報化資本全体を対象とする場合、(2)コ ンピュータおよび関連機器だけを対象とする場合のそれぞれの寄与を計測することに した。
 本稿では資本ストックの推計に高級棚卸法(Perpetual Inventory Method)を使用す る。フローの投資データと減価償却率が利用可能であれば、この方法を用いて比較的 簡便に資本ストックを推計することができる。
 まず、フローの情報化投資のデータを推計することから始める。第3章で見たよう に、投資に関する資本財別のデータは5年毎ではあるが産業連関表(基本表)から基本 的に得られる。一方で73年から通産省は民間設備投資の総計の成長率のデータから、 1年単位で大まかな資本財別の投資額を推計し、産業連関表の延長を推計している。 しかしながら、基本表と延長表のデータに不一致が生じており、それらを修正する理 論的な方法も無いため、本稿では松平と同様情報化投資の推計において二つの方法を 採用した。1つは延長表のデータをそのまま採用した「延長表ベース」の推計値であ り、もう1つは基本表のデータのみを利用し、5年間の伸び率を一定として計算した 「基本表ベース」の推計値である。本稿では分析上の正確性を期すために両方のデー タを併記している。
 以上のような方法で、まず情報化資本およびコンピュータそれぞれの名も祈祷しの 時系列データを推計した(図表10、11)。次にこうして得られた名目値を日本銀行「物 価指数年報」の卸売物価指数を用いて90年基準の実質値に変換する。ただし、ここで の問題点は念じを遡るごおに品目毎の詳細な指数が利用できなくなることである。例 えば、コンピュータ関連の物価指数は84年以前には品目として取り上げられていない ように、個別の品目毎にデフレータを用いて実質化する方法には限界がある。従っ て、本稿では情報化資本全体に関しては松平(1997)と同様に「電気機械」のデフレー タを利用して、実質投資の時系列を算出した(図表12)。また、コンピュータおよび関 連機器に関しては、84年以前は「電子・通信機器用部品」のデフレータを使用し、ま た85年から89年までは「パーソナルコンピュータ」のデフレータを用いて90年以降の 「コンピュータ・同付属装置」に接続することで実質投資の時系列を算出した(図表 13)。
 こうして求めた実質投資の時系列データに基づいて、コンピュータ、情報化資本そ れぞれの資本ストックを恒久棚卸法を用いて次の式により推計する。

K(t+1) = Kt + It ? d*Kt   (7)式

 ここで、Ktはt期における資本ストック、Itはt期における祖投資のフロー、dは一 定の減価償却率をそれぞれ表している。また、上式を履行するのに必要な資本ストッ クの初期値K0は次の式で与えられる。

(1+g) = K1/K0 = (1-d)+I0 / K0   (8)式

より

K0 = I0 / g+d   (9)式

 ここでK0は資本ストックの初期値、I0は初期におけるフローの投資、gは投資の長 期平均増加率、dは資本ストックの長期平均償却率をそれぞれ表している。このよう な恒久棚卸法で求められた資本ストックは初期推計値K0に影響されやすいが、K0が次 第に磨耗するについて推計値は漸次正確なものになっていく。
 本稿では投資の長期平均増加率に関しては、情報化投資およびコンピュータ投資そ れぞれの70年かた95年の平均伸び率を用いた。また、償却率についてコンピュータは 耐用年数を6年とし、年16.6%の定率焼却を仮定した。また、情報化資本に関する償却 率は松平(1997)に従って年10%と仮定した。
 こうして、日本の情報化資本およびコンピュータストックとその伸び率が求められ た(図表14、15)。日本のコンピュータストックは平均で16.9%(延長表ベースでは 17.5%)の伸び率を見せ、そのストックは95年には約23.7兆円(延長表ベースでは約 22.6兆円)に達している。また、情報化資本ストックは平均で10.5%(延長表ベースで は11.4%)の伸び率で成長し、そのストックは95年には約86兆円(延長ベースでは約92 兆円)に達していることが確認できた。

4.2.3 所得分配率の推計

 次に、情報化資本の寄与を算出するために必要な所得分配率を推計する。Oliner and Sichel(1994)では情報化資本の所得分配率を推計する際、米国政府労働統計局 (Bureau of Labor Statistics: BLS)が用いているD.Jorgensonの使用者費用の推計手 法を援用している。この方法を用いると、情報化資本の分配率は次の様に表せる。

Sc = rc/P*Kc/Y = (I+d+Pc)*Pc*Kc / PY   (10)式

 ここで、iは資本から得られる利益率、dは償却による資産価値の下落率、Piは価格 指数の変化に伴う資産の評価切り上げ率をそれぞれ表し、I+d-Piは資本のレンタル率 を表している。これに名目資本ストックPcKcを掛け合わせたものが、情報化資本から 生み出される所得であり、さらにそれを名目所得PYで割ると国内総生産に占める情報 化資本の取り分=資本分配率を求めることができる。
 また、(10)式における資本利益率iは、情報化資本が他の資本と等しい利益率を得 ると仮定し、BLSの手法で計算する。資本ストックはK=Kc + Knと表せることから資本 利益率は以下の様に求められる。

Sk = (I+dc+Pc)*Pc*Kc + (I+dn+Pn)*Pn*Kn / PY   (11)式

 (11)式は資本分配率が情報化資本の分配率と非情報化資本の分配率に分解できるこ とを表している。この式をいiについて解くと、

I = skPY ? (dc-Pc)PcKc ? (dn-Pn)PnKn / PcKc + PnKn   (12)式

 (12)式によれば、資本利益率は全資本所得から償却分を引き、それに資本ストック の評価切り上げ高を加えたものを、総資本ストックの価値で割ったものである。

 このようにして推計された資本利益率について見ると、74年の43.1%から徐々に低 下し95年には5.1%になっている。また、70年代、80年代、90年代の平均はそれぞれ 23.5%、13.5%、9.6%であり、年代別に見ても資本利益率が低下する傾向にあることが わかる。本稿の分析対象期間である72-95年の平均収益率は15.8%であった。
 また、この推計に基づいて情報化資本のレンタル率(I+d-Pc)を算出できる。72-95 年の平均レンタル率を求めると、コンピュータに関しては36.39%、情報化資本に関し ては26.63%であった。さらに、同じ期間で情報化資本以外のレンタル率について見る と、米国における70-92年のコンピュータのレンタル率は36.6%であり、日米で比較的 に通った値が推計されている点は興味深い。また、同じ期間のその他の資本のレンタ ル率は15.4%と推計されている。
 情報化資本と非情報化資本でレンタル率が違うのは、主として消耗率dの違いに帰 することができる。他を一定とすると、短い寿命の資本は長い寿命のものよりも高い レンタル率を持つことになる。特にコンピュータの場合を考えればわかるように、急 速な技術革新により情報化資本の価値は陳腐化しやすく、従って減耗率も他の資本財 に比べて高くなっているのである。

4.3 成長会計分析の結果と考察

 本節ではこれまでの推計で得られたデータに基づいて、情報化資本のGDP成長率に 対する寄与を、(1)1972-95年までの期間、(2)70年代と80年代以降の期間で分けて計 測した(図表16、17、18)。

4.3.1 全期間

 1972年から95年の期間において、情報化資本の日本の実質GDP成長率に対する寄与 度は基本表ベースで年率平均0.31%(寄与率は同8.80%)、延長表ベースでは年率平均 0.33%(寄与率は同9.33%)であり、データソースの違いによる若干のずれが確認され た。また、情報化資本のうちコンピュータの寄与度は基本表ベースで年率平均 0.12%(寄与率は同3.47%)、延長表ベースでは年率平均0.11%(寄与率は同3.21%)であっ た。
 次に、この推計結果をOliner and Sichel(1944)が米国経済について行った研究結 果と比較してみたい。ただし彼らの研究では1970年から92年の期間のついて成長会計 分析が行われており、本稿の推計期間とは若干の違いがあることに留意する必要があ る。
 1970年から92年の期間において、情報化資本の米国の実質GDP成長率に対する寄与 度は年率平均0.31%(寄与率は同11.19%)であった。また、同じ時期において、コン ピュータの寄与度は年率平均0.16%(寄与率は同5.78%)であった。
 このように、情報化資本全体を対象とした場合、その寄与度は日米で大きな違いは 無い。しかしながら、コンピュータだけを対象として場合は、米国の寄与度の方が高 くなっている。
 このような違いは、日米で要素投入の伸び率に大きな違いがあるからである。情報 化資本ストックの成長率は米国が年率平均で11.60%であり、日本は基本表ベースが同 10.68%、延長表ベースが同10.74%であった。このように、情報化資本全体で見た場 合、投入高の成長率は1%弱の違いであり、先に見たように寄与度についてはそれほど 大きな差は無い。しかしながら、コンピュータについて見てみると、そのストックの 成長率は日本の基本表ベースで年率平均で16.94%、延長表ベースで同16.78%であるの に対して、米国では同27.60%と日米で焼く10%もの違いが生じていることがわかる。 さらに、非情報化資本ストックの伸び率を日米で比較すると、米国における非情報化 資本ストックの成長率は年率平均で3.40%であるのに対し、日本では基本表ベースで 同6.77%、延長表ベースで同6.72%と米国のほぼ二倍であることがわかる。つまり、日 本では非情報化資本ストックの成長率が米国と比較して大幅に高いのに対し、情報化 資本についてはこの関係が逆転し、特にコンピュータの投入高成長率は米国の方が高 いのである。
 以上の様に、日本では情報化資本の導入より非情報化資本の導入に積極的であり、 米国では非情報化資本にくらげ手情報化資本の導入に積極的であるという違いが、日 米の実質GDP成長率に対する情報化資本の寄与に反映されていることがわかる。

4.3.2 年代別

 次に、Oliner and Sichel(1944)に従って、年代を70年代と80年代以降の二つに分 け、情報化資本の寄与を比較していく(図表18)。ただし、ここでは日米比較における 煩雑さを避けるために、基本表のデータに基づいて考察していく。延長表を用いた場 合情報化資本の寄与は若干上昇するが、比較においては重大な差異は無い。
 まず70年代について見ると、日本の情報化資本の寄与度は年率平均0.31%(寄与率は 同6.94%)、米国の寄与度は年率平均0.25%(寄与率は同7.31%)であった。また、コン ピュータについて見ると、日本における寄与度は年率平均0.10%(寄与率は同2.15%)、 米国における寄与度は年率平均0.09%(寄与率は同2.63%)であった。このように、70年 代は情報化投資の実質GDP成長率に対する寄与は日米で同程度であったということが できる。 
 しかしながら、80年代以降の情報化資本の寄与は日倍で大きく異なる結果となって いる。80年代以降の日本における情報化投資の寄与度は平均0.31%(寄与率は平均 10.19%)であり、米国の寄与度は平均0.35%(寄与率は15.42%)であった。また、コン ピュータについて見ると、日本の寄与度は平均0.14%(寄与率は平均4.44%)であり、米 国の寄与度は平均0.21%(寄与率は平均9.25)であった。
 このように、(1)情報化資本の寄与は70年代には日米同程度であったことおよび (2)80年代以降、日本では情報化資本は従来程度の寄与である一方、米国ではその寄 与度が上昇している、という二点が指摘できる。
 なぜ、80年代以降日米で情報化資本の寄与がかけ離れることになったかは必ずしも 明らかではないが、考えられる可能性としては資本蓄積のペースの違いが挙げられ る。つまり、米国では70年代のより高い情報化投資が行われていた結果として資本蓄 積が進んだことに加えて、80年台以降米国では情報技術が経営革新や業務プロセスの 再構築(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:BPR)と結びつく中で、情報化資 本の重要性が認識され、さらなる資本蓄積が進んできたため、日本と比較して情報化 資本の寄与が高い結果となっていると考えられる。

4.3.3 まとめ

 以上、本章では情報化資本の経済成長率に対する寄与を日米で比較し、その特徴を まとめてきた。
 しかしながら、当然の様に情報化資本が主体的に両国の経済成長を決定付けていた わけではないことは明らかである。これは、Oliner and Sichel(1994)も指摘してい るように、情報化資本が生産要素に占める割合はいまだに小さいことにその理由が求 められるであろう。

 先に行った情報化資本ストックの推計では、1995年には日本の情報化資本ストック が約90兆円、コンピュータストックが約20兆円に達していることが導かれた。しか し、95年の日本の民間企業資本ストックに対する情報化資本およびコンピュータス トックの割合はそれぞれ約12%、約2%に留まっている(図表19)。
 もちろん、90年代中頃以降も情報化投資は高い水準で推移していると考えられ、 この点では情報化資本ストックの蓄積が高まることから経済成長に対する寄与は高ま ることが考えられる。
 例えば、Oliner and Sichel(1994)の予測では、コンピュータストックの成長率に ついていくつかのケースを想定し、年率24.4%でコンピュータストックが成長した場 合の楽観的シナリオでは2003年にはコンピュータの寄与度は0.49%に上昇するとして いる。
 しかしながら、このようなケースを想定しても、依然として情報化資本の経済成長 への寄与は小さなものであると言わざるを得ない。やはり、既存の資本ストックが大 規模であることから情報化資本の寄与の高まりが緩やかなものに留まるを得ず、情報 化資本の経済成長に対する寄与は一挙に高まることは無いと結論できる。

5 今後の展望と残された検討課題



本稿では第3章において日本における情報化投資の進展について考察を加え、第4章で も成長会計に基づいて情報化資本の経済成長に対する寄与を実証分析するとともに日 米比較を試みた。その結果、日本において情報化投資の進展が見られたものの、情報 化資本の経済成長に対する寄与は緩やかなものに留まっていることが確認された。
 しかしながら、情報化資本の経済成長に対する寄与が小さかったからといって、情 報化投資と経済成長の関係はそれだけで片付けられるべき簡単な問題ではない。
 本稿はこれまで「ハードウエア」としての情報化資本に対する投資の進展を概観 し、その経済成長率に対する寄与の実証分析を行ってきた。しかしねがら、コン ピュータの場合を見ればわか るように、情報化資本が「ハードウエア」単体で使わ れることは無く、「ソフトウエア」と結びついて始めて付加価値を生み出すことがで きるのである。従って、生産資本としての「ソフトウエア」を組み込まない分析では 情報化資本の寄与は過小評価されることになる。また、本稿では新古典派の仮定に基 づいて外部経済効果は存在しないことを前提に成長会計分析を行ってきたが、近年で はBrynjolfsson an Hitt(1996)などに見られるように情報化資本が限界コストを上回 るリターンをもたらすとの研究結果も見られるようになってきている。もしこうした 外部効果が惣菜するのならば、成長会計の方法では情報化資本の寄与を過小評価して しまうことになる。
 従って、情報化資本の経済成長への寄与を正しく捉えるにはこのような要素を組み 込んだ分析が必要となってくる。しかしながら、これらの要素を組み込んだ分析を行 うためには多大なる困難が伴うため、情報化資本の経済に対する影響を性格に分析す るのは難しいと言える。そしてこれこそが、経済活動の「知識集約化」に伴って提起 される問題なのである。
 以下、この問題について若干触れることにしたい。

5.1 知識集約化に関する問題意識

 知識集約化に関する問題意識を簡単にまとめると、情報通信技術の確信により知識 や情報といった無形で知的な価値が経済活動に与える影響が増大する中で、実体経済 や金融構造にいかなる変化が生じ得るのか、そしてそれらをどの様に経済統計の上で 捕らえていくべきナのかということに集約される。
 第1章で少し触れたように、日本に先行して知識集約化を経験してきた米国では、 情報化関連の支出や投資が経済に対して与える影響を定量的に把握する試みがなされ てきた。しかしながら、米国においては情報化投資の急速な増加にも関わらず、マク ロレベルでの生産性が期待された程には上昇せず、むしろ第二次世界大戦以降長期間 に渡って上昇してきた生産性が70年代以降次第に停滞する傾向を見せてきた。このよ うな状況はいわゆる「生産性パラドックス」として認識され、米国の政策当局や学会 ではこのパラドックスを巡って様々な議論が行われてきた。
 その過程で生産性パラドックスに対して様々な仮説が立てられてきたが、それは大 きく二つに分けられる。1つは新技術の導入に伴う「調整コスト論」とでもいうべき 仮説であり、もう一つは「統計不備説」である。
 以下それぞれについて簡単に触れておきたい。

5.1.1 調整コスト論

 新技術の導入に伴う「調整コスト論」とは、特にDavid(1990)で指摘されているよ うに、新技術が波及し一般に定着するまでには、生産方法の変更や組織の改革が必要 となるために、実際にマクロ経済に対する影響が現れるまでタイムラグが存在すると いう考え方である。
 David(1990)によれば、米国における電力普及の歴史を振り返ると、19世紀末時点 で一般過程への電力普及率は3%足らずであり、製造業の事務所における電動力の普 は5%を下回っていた。しかも、電力普及率が50%に達するまでにはその後20年を要 したという。そして、普及率が50%を超えて始めて生産性の上昇に結びついたことが 指摘されている。一方コンピュータについて見ると、70年代以降の普及速度は電力の それよりも早いものの、全世界での普及率はいまだ10%程度に留まっているとしてい る。この意味で、いまだコンピュータによる生産性の急速な上昇を期待する段階では ないと考えることもできる。
 また、北村(1997)はDavid(1990)の議論を踏まえた上で、新技術の導入には数々の コストがかかることを指摘している。コンピュータの場合で考えると、コンピュータ をオフィスに導入しても、従来のペーパーベースの処理を並存している限り、コン ピュータの効率性が十分に発揮されることにはならないことを意味している。つま り、新技術に適応した人材やノウハウを育成するには時間とコストがかかるため、技 術普及と生産性の上昇の間には時間的なラグが存在するのである。
 このように、「調整コスト論」の考え方では情報化による生産性の上昇が顕著にな るのはこれからであり、我々はまだその途上に位置していると考えることができる。 また、その途上においては、新技術を対かした資本設備の設置にかかる費用のみなら ず、コンピュータソフトウエアの開発や労働者の再教育のような補完的な投資にかか るコストに加え、新規産業へ物的資本や人的資本を再配分するためのコストなど、 様々なコストがかかるため、一時的に生産性が低下することもあり得るのである。

5.1.2 統計不備説

 「統計不備説」とは、米国連邦準備制度理事会のグリーンスパン氏も指摘している 様に、情報化投資の増大や情報化関連産業の成長は既にマクロ経済に対して影響を及 ぼしているが、財・サービスの変化に既存の統計が対応しきれていないためにその影 響を捕捉しきれていないのではないかという考え方である。
 こうした統計不備説は、(1)情報化関連における財・サービスの品質変化いかに物 価指数に反映させていくか、(2)生産性の測定に際して情報技術を対かした資本構成 の変化をいかに評価するか、(3)ソフトウエアの開発や情報処理といったサービスを いかにしてGDP統計に反映させるかといった大きな問題意識を反映していると考えら れる。
 第1に、一般に物価指数とは、ある基準時点から品質を一定に保ったとしたときの 物価変動を捕捉する「品質調整済み物価指数」であると理解できる。しかし、一般に 品質とは財・サービスに対する主観的な評価であり、コンピュータのような技術革新 が著しい財について品質を一定に保った価格調査を行うためにどのような手段をとれ ば良いのかという点が大きな問題となっている。
 第二の論点として、生産性の測定に際しては資本に体化された技術進歩を評価する ことが大切であるにも関わらず、技術進歩率を表すTFPの成長率は残差として計測さ れるため、測定誤差を含むことになる。ここで、情報技術確信の成果が生産性の上昇 に寄与していないとする「生産性パラドックス」が生じるのはTFPの計測方法自体に 問題があるのではないか、との疑問が提起されている。
 第3の論点として、日本では1978年以降、国民経済計算や産業連関表などは1968年 に国際連合によって提示された1968年SNA(System of National Account: 以下68年 SNAと略)のフレームワークに基づいて作成されている。しかし、68年SNAのフレーム ワークは作成後既に30年近くが経過した現在では、この間の経済活動や産業構造の変 化に伴って、現実の経済活動を記録する上で問題が生じてきている。つまり、知識集 約化の進展によって重要性が増している知識や情報といった無形のストック自体やそ こから生じているサービスフローについて、現行のSNAでは十分に捕捉し得ないとい う問題である。
 68年SNAではソフトウエアやデータベースといた無形の財は資本として扱っていな い。しかし、例えばソフトウエアを購入した企業は財務や販売、在庫管理を含む広い 意味での生産活動の為にそのソフトウエアを数年間に渡って使用するのが通常であ る。従って、ソフトウエアの原本とコピー、データベースの原本などが固定資本形成 資本形成に含まれるようになったのである。  以上のような、制度的・技術的な問題を考えると、生産性パラドックスに対する 「統計不備説」はかなり妥当性が高いと考えられる。

5.2 求められる対応

 本章ではこれまで知識集約化の問題意識とそれに対応する説明仮説について検討を 加えてきた。それではこうした問題意識に対して実際にどのような対応をしていくべ きなのだろうか。
 第1に指摘できるのは、統計整備を更に進める必要があることである。本稿の分析 は情報化資本の定義を米国統計の定義に照らし合わせるところから始めたが、これは 日本において情報化投資に対する体系的な統計が存在しなかったのが大きな原因であ る。
 もちろん、コンピュータの国内出荷状況や企業におけるLANやインターネットの普 及に関しては個別に各種の白書が存在し、個別に計数的な把握をすることは可能であ るが、情報化関連のデータを体系的にまとめた統計は日本では整理されていないのが 現状である。従って、今後は93SNAの改定を踏まえ、情報化資本についてハードウエ ア及びソフトウエアに関する固定資本形成について正確な統計データを整備すること が求められる。
 第2に、知識集約化については、経済史や経済原論に基づいてさらなる検討を加え る必要がある。つまり、情報通信分野における技術革新はしばしば「第3次産業革 命」として語られるが、それが「第2次産業革命」における電力・鉄道の普及に伴う 経済活動の動向例であるソフトウエア開発の場合、初期投資は増大である一方複製コ ストは極めて小さいことから収穫逓増・費用逓減産業の分析などが今後必要となって こよう。
 このように、知識集約化を捉えるには、当面は地道な研究・議論を続けていくべき であると言えるだろう。

5.3 まとめ

 本稿では「情報化投資は日本経済の成長力を変えるか?」と銘打って、産業連関表 に基づく情報化投資の進展や、その経済成長に対する寄与をデータに基づいて実証的 に分析してきた。その問いには、情報化投資及びその結果としての資本蓄積を考慮し ても、日本経済の成長力押し上げ要因としては緩やかなものに留まっていることが明 らかになった。しかし、これまでの議論から明らかなように、情報化投資の経済成長 に対する寄与はソフトウエアや外部性といった様々な要素を組み込まなければ正確に 分析することはできないのである。また、統計データの問題もあって、この分野の研 究はまだ堵についたばかりであり、検討すべき課題は本稿で触れたもの以外の多岐に 渡っている。従って、現時点では情報化投資の経済成長に対する寄与は限定的である ものの、今後その影響はますます大きくなる可能性を指摘し、本稿を終えることにし たい。

以上



付論



第1次産業



農業

 農業部門における情報化投資について見ると同部門における情報化関連投資の進展 が伺われる(図表20)。農業部門の固定資本形成に占める情報化投資率は、70年にはわ ずか0.118%であったが、90年は約645億円の情報化関連投資が行われ、同比率は3.11 %へと大きく増加している。
 資本財別の部門内固定資本形成に対する比率を見てみると、コンピュータ及び関連 機器に対する投資の高まりが著しく見られる。70年には0だった比率は、90年には 1.61%に達している。また、装置の比率は70年代の0.115%から90年には1.19%に高 まっている。また通信機器の比率について見ると、75年には0.269%だったが、90年 には0.07%に低下している。その他事務用機器への投資はごくわずかであったが、90 年にはようやく0.22%の比率に達している。複写および関連機器の比率はごくわずか であり、最も高い90年で0.02%であった。

林業

 次に林業における情報化投資の進展について見ていく(図表21)。この部門において は70年の情報化投資率は7.11%と高かったが、75年には0.22%、80年には0.04%と低 調に留まっている。しかし、80年代後半から再び情報化関連投資が行われ、90年には 約27億円が投資された。これは部門内の固定資本形成の3.75%を占めている。
 ここで、情報化投資の内訳を見ると70年い最も高い比率を占めていたのは通信機器 で、3.42%であった。ついで装置が2.29%、その他事務用品が1.40%の比率をそれぞ れ占めていた。75年、80年と情報化関連投資は低迷したが、90年にはコンピュータ及 び関連機器が2.54%と最も高い比率を占めるに至っている。90年のその他の資本財に ついては、事務用機器が0.38%、通信機器が0.23%、複写および関連機器が0.19%、 装置が0.42%の比率に達している。

漁業

 漁業における情報化投資の推移を見ると農業や林業に比べ情報化投資率は高い水準 を保っている(図表22)。70年、75年にはその比率はそれぞれ13.57%、13.05%であっ た。その後情報化投資率は85年の3.92%まで低下したものの、90年には約316億円の 投資により同比率は5.73%に達している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、通信機器の比率が高く75年 には11.53%にも達している。85年には情報化投資全体の低迷で1.64%にまで比率を 落としたものの、90年には3.96%の比率を占めている。通信機器についで大きな比率 を占めるのは装置であるが、最も高い70年でさえ2.28%の比率に留まっている。この 他、コンピュータ及び関連機器について見ると、農業や林業とは異なり、比率の高ま る傾向には無い。また、事務用機器の比率は非常に小さく、複写及び関連機器に関し ては投資自体が行われていない。

第2次産業



鉱業

 鉱業部門における情報化投資は比較的安定して推移してきている(資料23)。70年の 情報化投資率は4.72%であり、最も高い80年で5.91%、最も低い85年で2.91%であっ た。また、90年には約87億円の情報化投資が行われ、同比率は4.79%であった。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が高く、80年に は5.71%の比率に達している。また、コンピュータ及び関連機器の比率は70年の0.04 %から90年の1.88%にまで上昇している。通信機器に関しては、75年に2.85%の比率 を占めたものの、90年には0.49%の比率に留まっている。また、事務用機器について は70年に0.59%の比率を占めたものの、その後は低位で推移している。70年に0.33% の比率を占めた複写および関連機器も同様である。

食料品

 70年に食料品部門で行われた情報化投資は151億円であり、同部門の固定資本形成 に占める割合は5.03%であった(図表24)。この情報化投資率は85年には10.96%にま で上昇し、90年にも8.20%を記録している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が高く、85年に は7.82%に達している。しかしながら、70年代には0.65%だった電子計算機及び関連 危機の比率が80年代以降上昇し、90年には3.14%に達している。この他、通信機器の 比率は70年から低下して推移し、90年には0.42%に留まっている。また、複写及び関 連機器は70年代にはその比率はわずかだったものの、90年には1.06%になっている。 最後に、事務用機器の比率は70年の0.32%から減少し、90年には0.26%となってい る。

繊維製品

 ついで繊維製品における情報化投資の推移を見てみよう(図表25)。70年に同部門で 行われた固定資本形成に占める情報化投資率は3.60%であった。この比率は75年には 若干低下したもののその後上昇しつづけ、90年には9.62%に達している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が全期間を通じ て最も高い。75年には1.57%であったその比率は85年に最も高い5.43%にまで上昇し ている。また、コンピュータ及び関連機器は80年の1.58%行こう、装置に次ぐ比率を 占めており、90年には2.84%であった。次ぎに、通信機器について見てみると、その 比率は75年の1.25%を上回る年は無かった。最後に、複写及び関連機器について見て みると、全体的にその比率は低いものの、90年には0.94%の比率に至っている。

パルプ・紙・木製品

 パルプ・紙・木製品における情報化投資率は比較的安定的に推移してきている(図 表26)。その比率は70年代には4%半ばで推移し、80年以降は6%台で推移している。 情報化投資率が最も高いのは85年の6.96%であり、90には6.66%であった。
 70年についてみると、情報化投資のうち固定資本形成に対する比率が最も高かった のは通信機器で2.51%であった。75年以降は通信危機に変わって装置の比率が高まっ ており、85年には4.74%に達している。また、コンピュータ及び通信機器について見 ると、70年の0.11%から上昇を続け、90年には1.50%の比率に至っている。次ぎに事 務用機器について見ると、75年の1.02%以外は低位で推移している。最後に複写及び 関連機器について見てみると、全般的に低位で推移している。

化学製品

 化学製品における情報化投資は極めて高い水準で推移している(図表27)。70年にお ける同部門の固定資本形成に対する情報化投資率は10.95%であり、最も高い80年に は18.67%に達している。その後同比率は次第に低下する傾向にあり、90年には12.31 %となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、圧倒的に装置の比率が高い 子とがわかる。部門内の固定資本形成に占める装置の割合は最も高い80年には16.73 %の比率を占めるに至っている。さらに、80年以降はコンピュータ及び関連機器の比 率も高まってきており、90年には3.84%となっている。また、70年には2.92%だった 通信機器の比率は低下傾向にあり、90年には0.29%となっている。その他事務用機 器、複写及び関連機器は75年、80年とその比率は非常に小さかったが、85年以降その 水準は低いものの比率は増加している。

石油・石炭

 次ぎに石油・石炭部門における情報化投資の進展について見ていきたい(図表28)。 この部門においては特に80年以降になってから情報化投資率が大きく上昇している。 70年には5.82%であったその割合は85年には21.14%に達し、若干低下した90年でも 19.95%と高水準であった。
 このような高水準の情報化投資率は化学製品部門と同様、装置への固定資本形成に よってもたらされている。70年には3.94%であった部門内の固定資本形成に対する比 率は90年には14.81%に達している。また、75年に0.33%だったコンピュータ及び関 連機器の比率は85年には5.04%へと上昇している。これは85年における同機器への固 定資本形成の第2次産業における平均比率(3.31%)を上回っている。また、通信機器 に関しては、70年の1.48%の比率を上回る動きは見られない。事務用機器、複写及び 関連機器の比率は90年が最も高く、それぞれ0.65%、0.52%であった。

窯業・土石製品

 窯業・土石製品部門における情報化投資率は比較的安定的な推移が見られる(図表 29)。70年には約103億円の情報化投資が行われ、情報化投資率は5.92%であった。こ の比率は85年以降上昇し、90年には約474億円の投資により同比率は7.34%に上昇し ている。
 また、資本財別に見ると、部門内の固定資本形成に対する割合は装置が最も高い。 しかしながら、90年にはコンピュータ及び関連機器の比率が85年の0.93%から1.95% へと上昇している。逆に通信機器の比率は70年の1.55%から低下し、90年には0.38% となっている。また、複写及び関連機器について、その比率は極めて低いが90年には 0.46%に上昇している。その他事務用機器については、最も高い70年で0.22%であっ た。

鉄鋼

 鉄鋼部門において80年には約1000億円の情報化投資が行われ、部門内の固定資本形 成に対する比率は11.39%とサンプル期間では最も高かった(図表30)。90年には約 1800億円の情報化投資が行われたものの、同比率は6.75%にまで低下している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、85年以外は装置が最も大き く、最大で10.15%の比率に達している。コンピュータ及び関連機器の比率は85年に 最も大きく3.21%であった。90年は2.10%に低下している。また、通信機器の比率は 70年の3.22%が最も大きく、90年には0.20%となっている。事務用機器、複写及び関 連機器の比率は目立って上昇する動きは見られない。

非鉄金属

 非鉄金属部門においては情報化投資率が70年から80年にかけて落ち込んだが、それ 以降急激に高まっている(図表31)。80年には情報化投資率は4.77%だったが90年には 約684億円の投資により11.94%にまで上昇している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、サンプル期間を通じて装置 の比率が最も高い。しかしながら、80年には0だった電子計算機及び関連機器の比率 が85年には2.68%、90年には4.52%と急激に高まっている。また、通信機器について は70年の3.24%の比率が最も高かった。事務用機器、複写及び関連機器については90 年になって若干の比率の上昇が見られる。

金属製品

 金属製品部門における情報化投資率は1.21%だった75年以降急激に上昇し、80年に は8.14%に跳ね上がった(図表32)。90年には約1030億円の情報化投資が行われ、9.96 %の情報化投資率であった。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率は85年までは装置が最も高かった。し かしながら、70年には0.17%だったコンピュータおよび関連機器の比率が90年には 5.57%へと高まる動きが見られる。また、通信機器に関しては70年に2.50%の比率を 占めたが、その後は低下している。事務用機器についても70年以降その比率は低位に 推移している。複写及び関連機器は低位で推移してきたものの、90年には1.17%の比 率を占めている。

一般機械

 一般機械部門における70年の情報化投資率は9.04%であった(図表33)。この比率は 75年、80年とほぼ横ばいで推移した後、85年には25.13%に跳ね上がっている。90年 にも約5800億円が投資され、情報化投資率は19.62%となっている。
 また、資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、やはり装置が大きな 比率を占めており、85年の比率は21.75%に達している。この部門ではコンピュータ 及び関連機器の比率の目立った上昇は見られず、90年には2.47%に留まっている。ま た、通信機器は75年には2.83%の比率を占めていたが、それ以降は低下している。事 務用機器、複写及び関連機器については特筆すべき動きは見られない。
電気機械

 電気機械部門において70年には約1230億円の情報化投資が行われ、情報化投資は 27.07%であった(図表34)。この比率は80年には14.75%にまで低下したものの、85年 には30.90%に達している。90年には約1兆2300億円の情報化投資が行われ、同比率は 24.38%となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、70年代は通信機器の比率が 10%以上を占めていた。80年代になると通信機器に代わって装置の比率が最も高く なっている。それと同時にコンピュータ及び関連機器の比率が80年の2.48%から90年 には8.84%へと上昇する動きが見られる。また、事務用機器の比率は75年の1.73%を 上回ることは無いものの、複写及び関連機器の比率は低位で推移した後90年には2.19 %に上昇している。

輸送機器

 輸送機器部門における情報化投資比率は70年が最も高く、14.42%であった(図表 35)。この比率は75年に4.82%に低下した後上昇を続けている。90年には同部門では 約4兆2600億円の固定資本形成のうち約3500億円が情報化関連投資に関するものであ り、その比率は8.32%となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率は70年の6.41% から75年に2.31%へと低下したが、その後は上昇を続けている。また、コンピュータ 及び関連機器についてみるとその比率は70年の0.29%から上昇を続け、90年には2.59 %となっている。通信機器についてみると、その比率は70年の7.48%から大幅に低下 している。その他事務用機器、複写及び関連機器の比率は低位に留まっている。

精密機械

 精密機械部門の固定資本形成における情報化投資率は70年には11.89%であった が、75年には44.32%へと上昇している。この情報化投資率は、80年には15.95%へと 低下したが、85年には45.20%へと再び上昇している。また、90年の同比率は33.67% であった(図表36)。
 また資本財別の部門内固定資本形成に対する比率を見てみると、この部門では装置 の比率が圧倒的に高く、75年には39.15%にも達している。また、75年以降はコン ピュータ及び関連機器の比率も上昇しており、90年には7.48%に達している。通信機 器の比率は70年の1.83%を上回る動きは見られない。また、事務用機器の比率が85年 には2.63%となっている他、複写及び関連機器の比率は90年には1.40%となってい る。

その他の製造工業製品

 その他の製造工業製品部門(大分類)における情報化投資率はサンプル期間を通じて 上昇している。70年に1.93%だった同比率は90年には9.86%となっている(図表37)。
 資本財別の部門内固定資本形成に対する比率を見ると、85年までは装置の比率が最 も高かった。しかしながら、コンピュータ及び関連機器のシェアは70年の0.19%以降 上昇を続け、90年には3.73%と装置の比率を上回っている。通信機器の比率は75年の 1.40%が最高であり、90年には0.43%となっている。事務用機器、複写及び関連機器 については85年以降その比率が高まる傾向が見られる。

建設

 建設部門における70年の情報化投資率は8.47%であった(図表38)。この比率は75年 には上昇を見せたが、80年には7.92%まで低下している。85年にはこの比率は14.07 %に再び上昇したが、90年には11.94%へと若干減少している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が比較的高く、 85年には9.59%にまで達した。次ぎに通信機器の比率について見ると75年には3.55% に達したが、それ以外の年は0.45-2.29%の間で推移している。またコンピュータ及 び関連機器の比率は85年以降上昇し、90年には3.99%に達している。事務用機器の比 率は70年に2.82%だったが、その後は0.00-0.53%の間で推移している。複写及び関 連機器の比率は低位で推移してきたが、85年には若干の上昇が見られた。

第3次産業



電力・ガス・熱供給

 電力・ガス・熱供給部門においては70年代には約735億円の情報化投資が行われた (図表39)。この年の情報化投資率は9.09%であったが、80年には3.21%にまで低下し ている。その後この比率は上昇に転じ、90年には9.76%となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が全期間を通じ て最も高く、90年には5.41%となっている。また通信機器の比率は70年の4.30%が最 高であるものの、90年には2.52%と装置に次ぐ比率を占めている。コンピュータ及び 関連機器の比率は低位で推移したものの90年には上昇を見せ、1.68%となっている。 また、事務用機器、複写及び関連機器の比率は低位で推移し、目立った動きは見られ ない。

水道・廃棄物処理

 水道・廃棄物処理部門においては70年には情報化投資が行われなかった(図表40)。 しかしながら、75年には装置を中心とした投資により、情報化投資率は31.60%と なった。また、80年には25.28%に達した情報化投資率はその後低下し、85年には 8.77%、90年には16.15%となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、装置の比率が高く、75年に は31.60%であった。この比率は80年に21.15%に低下した後85年には更に7.18%にま で低下している。90年には若干上昇し、8.58%の比率を占めている。他に目立った動 きとしては、90年に事務用機器の比率が6.56%に急上昇している点であろう。その他 の資本財の比率は全般的に見て低位で推移している。

商業

 商業(卸売・小売)部門における情報化投資率は80年以降大きく上昇している(図表 41)。75年には5.13%だったその比率は80年には11.95%、85年には24.14%に達してい る。ただし、90年にはその比率は11.69%へと低下している。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、70年には事務用機器が 3.63%と最も高い比率を占めていた。その比率は、80年には7.41%に達した後2-3%台で 推移している。また、コンピュータ及び関連機器の比率は85年には4.68%、90年には 3.85%と事務用機器の比率よりも高まっている。通信機器について見ると、その比率 は85年に1.91%に高まった後90年には1.69%に低下している。複写及び関連機器の比率 は85年に1.91%に高まった後90年には0.71%に低下している。また、装置について見る と、85年には12.33%と高い比率に達したものの、それ以外の年は1.65-2.56%の間で推 移している。

金融・保険

 金融・保険部門においては早くから情報化投資が活発であった(図表42)。情報化投 資の推移を見ると70年には30.45%、75年には37.31%と高い水準で推移している。80年 には10.80%と低下したが、85年には46.10%へと再び上昇した後、90年には17.88%と なっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、コンピュータ及び関連機器 の比率が85年以降急上昇していることがわかる。80年までの比率は4.57-5.15%の範囲 で推移していたが、85年には32.44%、90年には12.73%であった。また、通信機器の比 率は70年が最も高く21.02%であり、その後は1.68-5.45%の間で推移している。事務用 機器についてみると、その比率は75年の21.72%以外は0.00-4.86%の間で推移してい る。また、複写及び関連機器の比率は80年以降1.35-4.12%の間で推移している。最後 に装置について見ると、75年には4.97%の比率を占めたがその後は1.01-3.78%の間で 推移している。

不動産

 次ぎに不動産部門の固定資本形成における情報化投資率の推移を見ていく(図表 43)。この部門における情報化投資率は最も高い85年で3.73%であり、全般的に第3次 産業における情報化投資率を下回っている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、コンピュータ及び関連機器 の比率が一貫して上昇しているが、90年でさえ0.47%に留まっている。通信機器に就 いては75年の比率が最も高く1.74%であった。また、事務用機器の比率は75年に0.52% に達したがその後は低位で推移している。装置の比率については85年が最も高く 2.56%であった。複写及び関連機器の比率は極めて低位で推移している。

運輸

 次ぎに運輸部門における情報化投資の推移について見て行く(図表44)。70年に 5.73%であったその比率は6.70%に上昇した後、80年には2.51%に低下している。しか しながらその後同比率は上昇し、90年には5.77%となっている。
 資本財別に部門内固定資本形成に対する比率を見ると、通信機器の比率は75年には 6.03%に達したが、その後は0.88-1.99%の間で推移している。コンピュータ及び関連 機器の比率は一貫して上昇しており、90年には2.11%に達している。また、装置の比 率は80年までは低位で推移したが、85年には1.72%への上昇が見られた。さらに、事 務用機器の比率は70年の1.38%が最も高く、また複写及び関連機器の比率は極めて低 位で推移している。

通信・放送

 通信・放送部門においては、1970年は情報化資本への固定資本形成は計上されてい ない。これは1971年に電気通信事業法が改正されるまで、通信事業が完全に国家の独 占事業であったためである。しかしながら、法改正をうけて75年には情報化投資が計 上されるようになり、その部門内固定資本形成に対する比率は53.08%であった(図表 45)。その後は一高一低で推移しているものの、全部門の中で情報化投資は最も高い のが特徴である。
 このように高い情報化投資率を資本財別で見ると、「通信・放送」という部門名の 通り、通信機器の部門内固定資本形成に対する比率が39.97-50.07%の間で推移をして いる。また、コンピュータ及び関連機器の比率についてみると、85年には5.86%に達 しているが、それ以外の年では0.00-3.29%の間で推移している。装置の比率は85年が 3.67%と最も高いが、90年には2.49%へと低下している。事務用機器の比率は 0.00-0.43%の間で推移している。複写及び関連機器の比率は80年には1.41%へと上昇 したが、その後は0.52-0.54%の間で推移している。

サービス

 サービス部門における情報化投資率は70年の34.32%が最も高かったが、それ以外の 年も20.14-26.18%の間で推移してきた(図表46)。資本財別の部門内固定資本形成に対 する割合はコンピュータ及び関連機器が最も高く、9.13-10.79%の間で推移してい る。また、通信機器は70年の12.61%以降低下傾向を見せ、90年にh0.82%となってい る。装置は比較的割合が高く、7.06-8.88%の間で推移している。事務用機器、複写及 び関連機器の比率はそれぞれ0.00-1.33%、0.38-1.56%の間で低位に推移している。
 また、サービス部門を更に公共サービス(図表47)、対事務所サービス(図表48)、対 個人サービス(図表49)の32に分け、情報化投資率の推移を見ることにする。
 まず、公共サービス部門についてみると、75年には11.82%だった情報化投資率は85 年には21.29%へと上昇し、その後90年には16.14%へと低下している。ここで資本財別 の部門内固定資本形成に対する割合を見ると、装置が11.00-18.50%と高い水準で推移 している。これは医療、保険サービスの医療用機械器具への投資が大きいことが理由 である。また、コンピュータ及び関連機器についてみるとその比率は90年には4.00% へと上昇している。通信機器、事務用機器、複写及び関連機器の比率は低位で推移し ている。
 次ぎに対事務所サービス部門について見ると、情報化投資率は85年が43.26、90年 はやや低下したものの35.21%と非常に高いことがわかる。また、資本財別に部門内固 定資本形成に対する比率を見ると、コンピュータ及び関連機器の比率が32.59%、 20.87%と高いことがわかる。これは調査・情報サービス、物品賃貸サービスにおいて 同機器への投資が大きいことが理由である。又この他の資本財に関しては、装置を除 いて比率は低下していることが見て取れる。
 最後に対個人サービスについて見ると、情報化投資率は85年の12.41%から90年の 2.76%へ低下している。また、資本財別の部門内固定資本形成に対する比率を見て も、殆どの資本財の比率が低下している。しかしながら、コンピュータ及び関連機器 の比率は、水準自体は低いものの、85年の0.14%から90年には0.70%へと上昇している ことから、相対的な重要性が増していることがわかる。



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