第3次オンラインシステムがほぼ全機関で稼働を迎えた現在、早期に稼働した機関
などでは、システムの陳腐化や複雑化、システムの拡張性や柔軟性の低下,維持・
運用コストの増大などの多くの問題を抱え始めている。
勘定系・対外接続系システムでは、システム規模がステップ数(プログラムの命令
数)で第2次オンラインシステムの10倍に膨れ上がるなど、著しく巨大で複雑な
構造を有するものになっている。このため、稼働後のサ−ビス・業務などの追加,変更
の際に、機動的かつ迅速な対応が困難であるとともに、多額の開発・修正コストが
必要となっている。一方では、より高度な金融商品・サ−ビスを提供するとか、新商品などへの
迅速かつ低コストでのシステム対応をするとか、ATMやFB等のサ−ビス時間を延長するなど、より
顧客側に立ったシステムの構築が求められている。また最近では、インタ−ネット
やパソコン通信などのネットワ−クの普及に伴い、金融商品やサ−ビスなどの情報
提供への取組が活発化しており、とくにその決済などに関して金融機関が適切に対応
することが期待される。
資金証券・国際系システムでは、第3次オンラインシステムで一部積み残しがあった
ことと、この分野の業務は元来欧米で開発されたこともあり、デリバティブなどの
分野では、わが国の銀行はシステム対応面で遅れをとっている。金融取引の多様化
のもとで、時価情報をリアルタイムで反映させるなどリスク管理の精緻化が求めらる
であろう。
情報系システムでは、情報系システムに求められる機能が環境変化等により多様化
した結果、当初の設計段階で要求されていた機能をもとに作られた情報系システムの
一部は、環境変化への対応が困難になってしまった。激しく変化する金融環境の中
では、情報の有効活用こそが重要であり、そのためには、より変化への対応性の高い
システムへと充実していくことが期待されている(『金融情報システム白書』
平成7年版による。)。