進展の経緯

銀行POSは、昭和59年5月の大蔵省機械化通達により試行的実施が認められた。そ の後、平成元年度の機械化通達の改正で、(1)端末機設置店舗数枠の撤廃,(2)銀行 営業時間外取扱いの許可等大幅な規制緩和が行われたことから、地域金融機関を中心 にサ−ビス実施に踏みきる金融機関が拡大した。さらに、平成3年度の機械化通達の 改正では、資金移動の取扱い範囲が条件付きで他行(庫)まで拡大された。平成4年 1月には改正後の通達などに基づく具体的注意事項を定めた「銀行POSに係わる審査 内容」が出状されるなど、銀行POS普及のための環境は整備しつつある(『 金融情報システム白書』平成8年版による。以下の説明もこれによる。)。
 ここで、銀行POSに関わる機械化通達の主な経緯をもう少し詳しくみていきたい。 銀行POSに関わる機械化通達自体、昭和63年に、契約手続きが簡素化され、POS 契約上の「販売者」に親会社等「販売に準ずる者」を含めるとなった。平成2年お よび4年には届出手続きが簡素化された。
 昭和59年の時点では、端末機設置店舗数枠が一行(庫)当たり3販売店になっ た。資金移動取扱範囲は、同一行(庫)かつ同一支店内であった。取扱い時間は、 金融機関の営業時間内であった。その2年後の昭和61年には、端末機設置店舗 数枠は一行(庫) 当たり10販売店に拡大されたうえ、資金移動は同一行(庫)内となり、同一支店内 という規制は無くなった。そして平成元年度には、上で見たとおり、端末機設置店舗数枠の 撤廃と、金融機関の営業時間外の取扱い認可がでた。平成3年は、上に見たとおり、 資金移動取扱い範囲が他行(庫)まで拡大された。また、同年「販売者に準ずる者」 の適用範囲が拡大され、「販売者に準ずる者」として、「商店街組合」、「販売者 に代わって当事者となりうる情報処理会社」が加えられた。平成7年度には安全対 策に万全を期するため、取引暗証番号の誤入力操作の回数に関する注記が追加され た。
 現在の実施状況としては、銀行POSのサ−ビスを実施している金融機関数は平成 7年3月末時点で、平成6年3月末時点での調査比で5機関増加し、271機関( 回答機関690機関の39.3%)となっている(『金融情報システム白書』 平成8年版による。)。増加した5機関の内訳は、信用金庫が3機関、労働金庫が2機関 となっており、地域共同型銀行POSへの参加を契機にサ−ビスを開始したものがほと んどである。
 契約企業数は全体で約2万社,契約会員数(延数)は前回調査比で200万人弱 増加し、約990万人となっている。また、月間利用件数(平成7年3月)は、前回 調査比で5000件増加し約6万9000件となっている。利用状況を業態別にみ ると、地方銀行を中心に地域金融機関のシェアが高くなっているが、全体的な利用 状況は依然低水準にある(資料11参照)。