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(*1)広田・宮島(1999)はメインバンク制度の変化について、重要な示唆を与えてくれる。ここでは、メインバンクの1つの機能として考えられる、銀行の経営介入のパフォーマンスについて時系列の比較が行われている。
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(*3)大庭・堀内(1990)。この部分の既述に関しては、この文献によるところが大きい。
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(*4)エージェンシーコストについての記述は、池尾・広田(1992)による。また、大庭・堀内(1990)では、例を使ってエージェンシーコストについての説明がなされている。
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(*5)このことは、上記の論文において、financing hierarchy理論を用いて説明がなされている。
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(*6)このことについては、岡崎・堀内(1992)において指摘されている。
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(*7)小川・北坂(1998)では、平均Qでは、ファンダメンタルズを正確に反映しないうえに、設備投資の尺度としても不適当であることを述べ、設備投資の尺度としては限界Qの説明力が高いことを示している。また、岡崎・堀内(1992)においても、平均Qに対する同様な指摘がなされている。
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(*8)この変動係数は、(10年間の融資比率の標準偏差)/(10年間の平均融資比率)で定義されている。
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(*9) Qは〔企業の時価総額(E)〕/〔企業のリプレイスメント・コスト(K)〕で表される。これは、(X/K)/(X/E)と変形することができる(Xは企業の営業収益)。よって、トービンのQを推定するためには、投資収益率(X/K)と広義の資本コスト(X/E)を計測すればよいことになる。(森(1994)より)
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(*10)これらの変数の詳しい定義については、付論を参照のこと。
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(*11)これらのデータの入手には「企業系列総覧」(東洋経済)を用いた。
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(*12)森(1994)においては、融資の変動係数(39ページ注4参照)が平均よりも小さい企業をメインバンク企業としている。この、平均で区分する方法は、標本の質によって大きく左右されるために問題があると考えた。すなわち、変動係数が大きい企業が多数含まれる場合には基準が緩く、逆の場合には基準が厳しくなるという曖昧性があるためである。
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(*13)岡崎・堀内(1992)の分析では、融資比率で評価されたメインバンク関係は、平均で、内部資金制約をわずか8%低減するにすぎないことが述べられている。
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(*14)大庭・堀内(1990)。彼らの主張は、メインバンク企業は、独立企業と比べて低いコストでの資金調達が可能になる一方、メインバンクからの役員受け入れ等の固定費用を負担している。そのため、投資機会の少ない企業にとっては、前者のメリットよりも後者のコストの方が大きくなり、投資機会の豊富な企業では、前者のメリットが後者のコストを上回る。そのため、投資機会の豊富な企業においては、メインバンクを持つことで資本コストを引き下げることができるというものである。