求められる銀行の経営革新

ー自己資本と収益力の分析ー


駒沢毅
総合政策学部
1996年2月13日
岡部研究会
1995年秋学期

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概要


我が国の銀行は、現在その多くが不良債権を抱えて経営の安定性を脅かされ ており、国際的にも信用度が低下している。本稿は、このような状況にある我 が国の銀行が、経営の健全性と国内外からの信用を取り戻すためには、根本的 には自己資本を充実させることが重要であることを述べるともに、自己資本 の充実にとって必要となる収益力の向上のために何をすべきかを検討したもの である。
我が国の銀行はこれまで長年、預金・貸出が業務の中心であった。しかし、 人口の高齢化による金融資産需要の変化と、情報技術の革新を前提にすると、 金融仲介プロセスのいわゆる証券化は不可避の流れである。このため、今後日 本の銀行の収益の基盤となるのは、情報の生産能力とリスク管理能力を高める ことにあり、従来の預貸業務中心の経営体系は抜本的に見直して、新しい経営 構造を構築する必要がある。この点、我が国の銀行は、有力銀行といえども、 米国の有力銀行に比べると金融手法のイノベーションの面で現状大きく見劣っ ており、このため、近年この面での国際的な評価は低下している。
今後、日本の銀行が収益を伸ばし、経営の健全性を回復させるには、銀行 自身の意識改革が必要であるほか、銀行に対する行政も、護送船団方式から創 業者利潤を保証する方式に転換する必要がある。

キーワード
自己資本、ROA、情報の生産能力、リスク管理能力、貯蓄の機関化、証券化、 派生商品取引、情報技術革新、護送船団方式

はじめに


日本の銀行業界が今直面している大きな問題は、直接的には不良債権の処理 であるが、それは究極的には自己資本の不足という問題である。銀行には、自 らの負っているリスクを吸収し、内外からの信用を高めるために必要な資本が 足りないのである。このことは、現在都市銀行・長期信用銀行・信託銀行合計 で20兆円を超えるとされる不良債権の問題に関連して、日本の銀行の体力と 信用を著しく落としている。
   本論は、我が国の銀行が信用と経営の健全性を回復させる手段として、自己 資本を充実させることの意義と、自己資本を充実させるために我が国の銀行が 収益力を高めていくには何が必要であるかを検討する。まず、第2章では日本 の銀行に対する信用の低さの背景には、日本の銀行の自己資本の比率が、銀行 が現在抱える巨額の不良債権の存在を考えると低すぎるという現実があり、し たがって自己資本を充実させることが早急に求められること、そして、銀行が 自己資本を充実させてゆくためには、ROA(総資産に対する当期利益の比率) を高める=収益力を強化することが重要であることを確認する。第3章におい て、現在起こっている金融の構造変化の下では、従来型の預貸業務だけで収益 力を強化することは難しいことを示す。第4章では、米国の銀行が行なった経 営革新の背景とその内容、そしてその結果としての収益構造の変化に関して分 析し、我が国の銀行が収益力を高めるためには、銀行経営の抜本的なイノベ− ションが必要である、という結論を導き出す。
  我が国の銀行とアメリカの銀行は、その銀行の数や監督制度、経営風土も大 きく異なっており、単純に日米の比較を行なうことは適当ではない。しかしな がら、アメリカの事例には、我が国の銀行が直面している銀行経営に関する様々 な問題を考える上で極めて示唆的な部分が少なからずある。80年代のアメリ カにおいては日本よりもおよそ10年早く金融の自由化が進行しており、その 過程でS&L等の中小の金融機関のみならず大手の銀行の経営悪化が発生した。 しかし、90年代に入り、アメリカの銀行は大手有力行を中心に、その経営を 革新し、国際的な信用度と金融サ−ビス生産能力の高さの点では世界で最高の 評価を得るに至っている。米国の銀行の経営革新と、それによる収益力の強化、 そしてその背後にあった金融の構造変化について目を向けることは、今後日本 の銀行がなすべきことについて意義のあるヒントを与えてくれる。

銀行の自己資本の意義とその増強策


自己資本の意義


金融の自由化が進んで、競争制限的規制が緩和されるに伴い、銀行経営の健 全性を確保するためには、まず自己資本を充実しなければならない。もっとも 自己資本の充実のみによって銀行経営の健全性が判定されるわけではない。だ が、銀行の自己資本は、(1)各種リスク(信用リスク、市場リスク、流動性 リスク)等に対する備えであると同時に、(2)自己資本を充実することが、 内外市場における信用度を高めて、リスクの高い新事業への進出など、銀行業 務の高度化を可能にする、という意義をもっている。つまり、銀行の自己資本 比率は、予期されない損失を預金者への債務へ波及させないバッファ−の厚さ を示しており、このことが自己資本比率の高さが銀行の経営の健全性、財務体 質の強弱を表わすもっとも重要な指標であることの所以なのである。
また、金融自由化の下では、銀行は今後よりいっそう自己資本を充実してゆ く必要がある。金融の自由化は、上述した金融機関が直面する各種のリスクが、 少なくとも潜在的に一層大きくなることを意味しており、また、自由化に伴っ て金融取引もより高度で複雑なものになりつつある。この様な状況の下では金 融機関は行動の自由を認められる代わりに十分な自己資本を保持することで自 己責任の担保を厳しく求められるのである。

銀行の自己資本比率−日米比較−


ここで、1990年代の我が国の主要銀行の自己資本比率の推移と米有力行 のそれとを比較してみよう。次の表では日米の銀行の自己資本比率(資本項目/ 総資産)(銀行の自己資本はBIS規制の下では次のように定義され ている。すなわち、「自己資本」はまず、「コアとなる自己資本」(Tier ) と「その他の自己資本」(Tier )の合計である。このうち、前者に該当するの は、資本金及び公表準備金等いわゆる狭義の自己資本項目である。これらにつ いては、各国において共通にその全額が自己資本に算入される。他方、後者に 該当するのは、非公表準備金、再評価準備金(有価証券含み益等)、一般引当 金ないし一般貸倒引当金、負債性資本調達手段(永久劣後債、強制転換権付劣 後債等)等である。これらについては、損失が発生した場合に償却財源として 必ずしも完全に自由には用いえず、なんらかの制約ないし不確実性がある。こ のことは、「含み資産など、いざというときには頼りにならない資産」という アメリカのある銀行家が語ったとされる言葉に端的に象徴されている。したがっ て、銀行経営の健全性を示す情報としては、「コアとなる自己資本」がより重 要な意味をもっている。)を1990年から94年までフォロ−している。
関係のみに経営基盤を依存する状況では、遠からず銀行は立ちゆかなくなるこ とが予想される。

(数字は%。日本の銀行については、三和、第一勧業、富士、住友、さくら、 三菱、日本興業、東京各行の平均値。アメリカの銀行については Citycorp, Bankamerica,Chemical Banking, JP-Morgan, First Chicago, Bankers Trust, Chase Manhattanから各行の自己資本比率を計算した。CD-ROM "BankScope" Bureau van DJK より作成。)
                   アメリカの有力行の自己資本比率は1990年から93年にかけて急速に充 実してきていることが上の図から読み取ることができる。このことの背景とし て、1970年代後半に入って、大手商業銀行が金融自由化に伴う他業種との 競争激化に対応すべく、不動産等のハイリスク・ハイリタ−ンの資産運用を行 なった結果、80年代後半になると資産内容が著しく悪化したため、経営の健 全性を回復するために業務革新・リストラクチャリングを迫られたこと、また、 BIS規制の導入やアメリカにおけるバランスシ−ト規制の強化などによって、 各行が自己資本の充実を迫られた、ということがある(80年代の米 銀の経営革新については翁(1992)に詳しい。)。
一方日本の主力行に関しては、自己資本の充実のテンポはアメリカのそれと 比べて遅いと言わざるを得ない。日本の銀行も1980年代後半に、不動産関 連の融資の規模や、その比率を急増させ、営業リスクを高めた。しかし、90 年代に入ってのバブル経済の崩壊に伴って、これらの不動産関連貸し出し等が 不良債権化し、銀行全体の資産内容は80年代後半におけるアメリカの有力行 と同様に悪化している。(不良債権の総額は都市銀行で合計13兆5千億円で あり、これは貸し出し比率の5.68%にのぼる。詳しくは、「エコノミスト」 誌 1995年12月12日号を参照。)したがって、早急に資産内容を改善 し、自己資本を増強して、経営の健全性を回復する必要があるが、この指標で 見る限り、それは遅れている。この結果、1995年8月に発表されたム−ディ −ズ社の財務格付けでは我が国銀行は、表2に示すように極めて低い評 価を得ることになった。
      

                    表2:ム−ディ−ズ 財務格付け 
 
格付け 銀行名 国別機関数
A JP Morgan 等  米:3 日本:0 B+   First Chicago 等  米:17 日本:0 B   City Bank、Chemical 等 米:65 日本:1 C+  Bankers Trust、東京三菱 等 米:111 日本:3 C  第一勧業、富士、住友 等 米:78 日本:10 D+  さくら、東海、あさひ 等 米:9 日本:10
出所:日本経済新聞 9月21日

この財務格付けだけでなく、近年の我が国銀行の経営全般に対する評価の低 さは我が国銀行の国際的な存立基盤を弱め、最悪の場合には国際金融市場から 駆逐されてしまう可能性がある。国際金融市場では米英流バンキングがde facto standardとして確立している。そのル−ルの下では、銀行は行動の自由 は認められているが、その代わり自己資本比率を高めに維持することで経営の 健全性を確保してゆくことが、市場参加者の利益を守るという観点からも厳し く要請される。もし、そのル−ルに反した場合、国際金融市場から締め出され ることになる。現在の日本の銀行の経営基盤は、その不良債権額の多さや自己 資本比率の低さに示されるように非常に不安定な状態にあり、内外からの信用 を失いつつある。この意味でも、日本の銀行が、自己資本を充実させることは 急務となっている。

自己資本増加のル−ト


 自己資本増加のもっとも基本的なル−トは、内部留保の蓄積である。このた め、自己資本の増加テンポを考える上では、内部留保の利益の自己資本に対す る比率、すなわちROEをみることが一つのアプロ−チになる。無論、自己資 本の増加には増資というル−トもあるが、増資が可能であるためには、銀行株 が投資家にとって魅力的なものでなければならない。ROEは株式投資の収益 性をみる指標の一つであるから、増資が可能かどうか、という観点からも結局 ROEの向上が求められる。では、ROEを向上させるにはどうしたら良いの か。
ROEは次のように表わすことができる。
 
 ROE=当期利益/自己資本=(当期利益/総資産)*(総資産/自己資本)
              =ROA(総資産利益率)*Leverage Ratio
 

BIS規制はLeverage Ratioを一定値以下に押えるものであるため、銀行が ROEを改善し、内部留保の蓄積や増資によって自己資本を増加させるために はROAを向上させることが重要な課題となることが上記関係式から明らかで ある。
ただし、自己資本の充実のためにROAの向上、つまり、高いリタ−ンを求め るということはその裏返しとして高いリスクを(少なくとも潜在的には)負う ことになる。そして従来の銀行業務でそれは可能なのか、という問題がある。 我が国銀行は1980年代後半に不動産業関連の融資を行なうなどリスクの高 い事業を行なっていた。その結果が不良債権となって、銀行の収益力を低下さ せ、経営を圧迫している。また、銀行が決済システムを担っているという事実 を考えると銀行がハイリスク・ハイリタ−ンの経営を行なうことは望ましくな い、という考え方もある。
しかし、金融の自由化によって、前述したように銀行が直面する様々なリスク は潜在的にせよ顕在化したにせよ高まっているわけであり、銀行はこれを避け ることはできない。銀行業の本質はリスクを評価・管理することによって収益 を上げることである。リスクを貨幣的評価に置き換えて金融仲介を行なうこと が金融機関に与えられた使命なのである。リスクによって損失が生じるのは避 けられず、問題はどうそれをカバ−するかであるはずだ。リスクから逃げ、収 益を上げる努力を行なわない企業は市場から退出することになるというのが、 資本主義のル−ルであり、銀行にもそれは当てはまるのである。
銀行が自己資本を充実させる努力を行なう、ということは、銀行が収益力を高 める努力をすることに繋がり、それは銀行が金融仲介サ−ビスサ−ビス生産能 力を高めることに他ならない。そこで、次の章では、これまでの日本における 銀行業務の収益性と成長性に関して議論する。

我が国銀行の収益力


収益力と成長性の低下

我が国の銀行の収益力について議論する場合、まず、我が国の銀行業は今後 も収益を高めて行くことができるかどうかを把握する必要がある。つまり、従 来の預金を集めて貸付を行なうというスタイルの経営で今後もやってゆけるの か、ということを検討するベきである。  
表3は全国銀行の総資産増加率と経常利益率(ROA)の推移を示している。

                         表3:全国銀行の収益性と成長性

期間   資産総額増加率 経常利益率:ROA
1955--64  20.55 1.07(--) 1965--74 17.28 0.90(0.91) 1975--84 12.47 0.49(0.48) 1985--90 10.71 0.53(0.34) 1990--94 -2.36 0.17(0.14)
注:数字は年平均(%)。経常利益率で()内は、有価証券関連損益控除後の 利益率。有価証券関連損益は、(有価証券売却益+同償却益−同売却損−同償 還損−同償却)で定義されている。 出所:全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」

1970年代後半から銀行全体のパフォ−マンスが低下していることは明らか である。80年代後半から90年代にかけては、銀行部門は経常利益の水準を 維持するために有価証券の売却益を吐き出す傾向が強まっているため、そうし た利益操作の効果を除くと、経常利益率の低下傾向は一層著しくなる。
注目すべきなのは、1980年代後半には日本の銀行は従来にまして高い収 益を上げるためにリスク選択の拡大を行なった可能性が高いことである。例え ば不動産向けの貸し出し残高の全貸出額に占める比率は1970年代には5. 9%程度だったのが、80年代に入ると急増し、1986年から1990年に かけて10.9%に上り、また金融機関向けの融資額、特にノンバンク向け貸 し出しの急増も目だっている。また、全国銀行の重要な資産及び債務である貸 し出しと定期預金の満期構成も、資産である貸し出しの満期が長期化し、預金 の満期は短期化する傾向を示している(この点については堀内 (1993)が検討している。)。
これらの現象はいずれもこの時期に銀行の営業リスクが高まったことを示し ている。また、これらはかなりの程度は、銀行自身のリスク選択が積極的になっ たことの結果である可能性が高い。1979年の住友銀行による総本部制度の 導入以来、1980年代半ばにかけて各銀行がこぞって組織改革を進めたが、 その過程で、銀行のリスク選択をコントロ−ルすべき審査部門の地位が相対的 に低下したからである(銀行の審査部門の地位低下については 吉田(1994)や、「金融ビジネス」 1987年9月号に詳しい。)。
問題は、リスクを追求するような組織改革や経営戦略をとったにも関わらず、 収益性の低下傾向に歯止めがかかっていないことである。しかも、1990年 代に入り、バブル経済の崩壊に伴って、不動産貸付が不良債権化するなど収益 性がますます低下していることだ。つまり、銀行が構造不況業種となっている 可能性がある。

収益性の低下の背景−貯蓄の機関化・証券化、情報技術の革新−


ここで考える必要があるのは、銀行に固有な業務−預貸業務−の分野の相対 的な重要性が低下しつつある、ということである。
その背景としては第1に、家計部門、企業部門の資産需要が銀行預金から 他の資産に着実にシフトしてきたことである。今後人口の高齢化に伴って、保 険や年金などの契約貯蓄型の資産に対する需要は順調な拡大が見込まれるもの の、流動的な貯蓄手段である預金に対する需要は、経済活動規模の成長テンポ よりもはるかに緩やかな速度でしか増大していかないとみられる。 こうした 傾向はすでに我が国では1980年代に入って顕在化している。個人保有の金 融資産残高の推移をみると、1980年、流動性の高い現金及び要求払い預金・ 定期預金の金融資産残高総額に占める比率は67.4%を占めていたが、10 年後の1994年には、55.2%まで低下した。他方、資産管理サ−ビスの 中心の商品である信託は、同じ期間に5.8%から7.1%に比率を上げた。 契約貯蓄型の手段である保険は13.5%から24.7%に大幅にシェアを高 めている。景気の停滞などの影響で、この個人保有の金融資産別比率に多少逆 戻り現象がみられるとしてもこうした趨勢そのものに変化はないと予想される (詳しくは池尾(1995)を参照。)。
第2に、情報処理技術の革新に後押しされた「証券化」と呼ばれる構造変化 がかなり急速に進展し、企業金融が銀行借入に依存する程度を引き下げ、そ れに代わって株式などの証券形態の資金調達、あるいは自己資金による調達が 重要性を高めたてきことである。それは、次の表からも明らかである。
                      表4:主要企業の資金調達構造 

1965--74 75--84 85--90 90--95
 株式 2.6 8.3 21.4 9.7  社債 3.7 4.0 22.9 -1.95  借入金 30.1 9.6 -18.0 -10.31 うち短期  15.7 12.3 -8.8 -5.35   長期  14.5 -2.7 -9.2 -5.01 買入債務 13.2 11.5 -14.0 -6.45 内部資金  33.3 55.4 86.0 111.65 うち減価償却 27.0 44.9 65.1 87.65   内部留保 6.3 10.5 20.9 14.0
数字は(%) 出典:日本銀行「主要企業企業経営分析」
企業が財務力をつけて資本市場に直接登場するようになれば、あるいは、情 報技術の革新によって、資本市場における情報の処理効率が向上し、誰もが容 易に企業の情報にアクセスできるようになれば、企業金融は直接金融にシフト する。この結果、銀行の収益機会は相対的に減少し、あるいは絶対的にも減少 する可能性も否定できない。上記の表は、少なくとも大企業に対する企業金融 については、その可能性が顕在化していることを示唆している。
さらに、資金提供者が直接に個人を主体とする段階から、保険や共済組合のよ うな機関投資家の比重が高まる−「貯蓄の機関化(institutionalization)」 −と、リスクの負担や資金の利用可能性を提供するという機能の面において、 銀行の方がより本源的な資金提供者に比べて優位にあるとは言えなくなる。む しろ、資金提供機能の面では、準備預金義務等を負っているという面で銀行は劣 位にある。
しかし、日本の銀行は、企業や個人との長期的な取引関係の下で、高くはない が安定した収益を上げることができたし、したがってリスクをとってまで高い 収益を目指す必要はない、という見方もある。しかし、そのような長期的取引 関係のみに経営基盤を依存する状況では、遠からず銀行は立ちゆかなくなるこ とが予想される。

銀行・顧客の取引関係の変容

 
企業金融における「証券化」を促進している情報技術革新は、銀行がこれま で重要視し、そして収益源となってきた企業部門との長期取引関係を変化させ る可能性が高い。
これまでの我が国における銀行と企業の取引関係は、長期的で継続的な性格 をもつ傾向があった。この種の長期的顧客関係が有利となることの説明要因と しては、情報の蓄積効果が指摘されている。これは次のように説明できる。銀 行の金融仲介サ−ビス生産機能の本質は、資金提供先の収益性とリスクを評価、 管理するために行なう審査・監視といった「情報生産」と「リスク管理」であ る。そして、資金提供先のプロジェクトや企業に関する情報の蓄積は、将来の 追加的な情報の獲得を有利にするとともに、それらの有用性を高めるものであ る。それゆえ、初めての取引相手よりも、過去にすでに取引経験をもつ相手と の取引のほうが、情報生産の費用が節約できることから、特定の相手との取引 関係を継続的に維持する誘引がある(企業と銀行の長期的取引関係の 意義についてはシェ−ンホルツ・武田(1985)や藪下(1993)、あるいは鹿野 (1994)等を参照。)。
しかし、この長期的顧客関係の有利性に関する説明は、蓄積された情報が移 転不可能であることを暗黙の前提としている。蓄積した情報を転売することが 可能であれば、取引を継続しなければならない必然性はなくなる。顧客に関す る情報をストックしたデ−タベ−スの構築に要する費用は固定費であるとして も、デ−タベ−スごとの転売が可能であれば、サンク・コスト(サン ク・コストとは、経済学的には生産活動から撤退し、その産業から退出する際 にも回収できない投下資本部分のことを指す。)にはならない。情報技術の革 新によってデ−タベ−ス・システムの形で情報の蓄積が行なわれるようになれ ば、そのシステムを売ることで、蓄積された情報を移転し、その蓄積に要した 費用を回収することが可能になる。この意味で、銀行側にとっても、情報技術 革新の進展は、長期的顧客関係の有利性を低下させて、取引関係の流動化を促 進するものになる可能性を秘めている(情報技術革新の銀行経営に対 する影響は池尾(1991)が詳しい。)。
この章で検討してきた諸点を踏まえて長期的にみると、低金利で預金を集めて 高い金利で貸し出すことで生じる利鞘と、そういったビジネスの在り方の背景 にある顧客との長期的取引関係が、産業としての銀行の唯一の基盤であり続け ることは困難である。そこで、銀行が産業として生き残って行けるかどうかは、 銀行が自ら技術革新を取り入れて業務の革新を行ない、新商品を導入を図るこ とで決まる。今の日本の銀行が直面している課題は、銀行業が今もっている資 源や保持している地位からみて優位を確保できそうな役割を見つけること、そ して、その役割を通じて経済社会に貢献していくことである。この点に関して、 米国の有力行が90年代に入って行なった経営革新は、我が国銀行が今後とる べき方策について極めて重要な示唆を与えてくれる。そこで、次章では、有力 な米銀の経営革新とそれに伴う収益構造の変化を、我が国銀行の収益構造と比 較しつつ、我が国銀行の直面している課題について検討する。

米国の銀行の経営革新


米国における金融構造の変化

米国における銀行業は預金と貸出で固定的な利鞘を稼ぐという伝統的産業像 から大きく変質しつつある(米国における銀行業の変化に関しては、 Kaufman and Mote(1994)やBoyd and Gertler(1994)などが詳しく検討している。)。 このことの背景には、前章でも述べた、先進諸国に共通した (a)「貯蓄の機 関化」−人口の高齢化と資産蓄積の進展と、(b)情報処理・通信技術の飛躍的 な進展がある。
(a)については、米国においては1985年〜86年を境にして、預金金融機 関の金融資産残高と、年金や保険、信託といった非預金金融機関の金融資産残 高が逆転した。その後預金金融機関における金融資産残高の伸びは年間3%程 度なのに対して、非預金金融機関の金融資産残高の伸びは、年間20%近い伸 びを示している。(出典は翁(1995)より)
(b)については、(a)と、情報技術革新によって生じている企業金融における「証 券化」の進展の度合いをみれば明らかである。1980年における民間企業の 資金調達のうち、銀行借入の割合が40%程度を占めていたのが、90年代に 入るとマイナス(つまり、銀行借入を返済している)になって現在に至ってい る。(翁(1995)) 
こうした中で米国の銀行は、預金を受入れ貸出を行なうという預金銀行業務 から多様な金融サ−ビスの担い手に変貌することで生き残ろうとしている。そ こで、米国の銀行は具体的にどのような方策を90年代に入ってとったのかを 検討しよう。米銀の経営革新の鍵になっているのは、銀行の「情報生産」と 「リスク管理」という銀行の2つの本質的機能である。

情報生産機能とリスク管理機能の強化


銀行業務の本質は金融仲介サ−ビスの生産である。そして、それは(1)顧客お よび融資対象プロジェクトの審査と(2)事後的な債権管理(顧客に対するモニ タリング)の2つの機能の上に立脚して行なわれる。これが、銀行の情報生産 機能とリスク管理機能の中核である。従来は、この2つの機能と、リスクある 貸出で資金を運用するという(3)信用リスクの負担機能や(4)資金の提供機能が 結合していたのが、従来までの銀行の金融仲介業務の大宗であった。しかし、 (1)(2)と(3)(4)が常に一体化している必然性はない。前章で議論したように、 むしろ銀行はリスクの負担や資金を提供するという面での有利性は、例えば保 険や信託に比べて低く、また近年では、銀行の(3)(4)の重要性も低下してきてい る。 一方、これまでの情報(能力や経験)の蓄積から、(1)と(2)の面では依 然として銀行に優位があるとすれば、2つの機能群を生かしてこれを遂行する という方向性がある(銀行業務の本質についての詳細な説明について は池尾(1991)を参照)。
具体的にはまず、銀行のリスク管理機能を駆使した金融派生商品取引が挙げ られる。派生商品取引の特質は、債券や株式等のオリジナルな金融商品の価格 の構成要素に過ぎなかったvolatilityを独立の投資対象として取り出し、その 交易を可能にしたことである。
全ての金融商品は、リスクを配分する手段としての役割を持っている。この ことは、同額の資金供給を行なう場合でも、それを出資で行なうか、貸し付け の形で行なうかによって、資金提供者の間でのリスク負担が大きく異なってい ることからも明らかである。貸し付けの場合は、資金提供者はリスクの負担が 小さい代わりに、リタ−ンも預金利息に限定されるが、出資の場合には、通常、 出資者は多大なビジネスリスクを負担する代わりにリタ−ンも大きくなるとい う違いがある。
派生商品とは、こうした金融商品が本来もつリスク配分機能をより純粋に追 求した商品−つまり、金融資産が本来もつリスク配分手段としての要素を分離 し、独立させて取り出したもの−として捉えることができる。つまり、金融商 品の持つ資金調達手段としての側面が、リスク配分手段としての側面と切り離 されたのである。
重要なことは、企業にとって派生商品に対する需要は増大していることだ。 金融の自由化とそれに伴う金融取引の拡大によって、金融資産の価格や金利の 変動リスクは高まっており、これを如何に管理して、安定的な資金調達を行な うかは、いかなる企業にとっても大きな課題である。したがって、金融派生商 品は、銀行が提供できるリスク管理面での金融仲介サ−ビスの重要な手段であ り、銀行の、派生商品取引を活用しうる能力の高低は、その銀行のリスク管理 能力の高低を表わすものであるといって過言ではない。
アメリカの有力行がとった戦略は、まず、この派生商品取引の能力を高める ことを通じてリスク管理能力を向上させたことである。その戦略の成果は、以 下に示すように米銀のリスク管理能力に対する世界的な評価の高さとなって表 われている。
                   表5:銀行のリスク管理能力 

リスク管理能力(b)  --  52.7 10.9 5.5
出典:Euromoney 1995.9 リスク管理能力(a)は「派生商品取引技術 上位10行」に基づいて、第1位を 10点、第2位を9点等として点数化の上、国別シェア(%)を算出。 リスク管理能力(b)は「ベスト リスクマネ−ジメントアドバイス提供行 上位 10行」に基づいて同様に計算。
 
派生商品取引技術、また、それに関連したリスク管理技術をみるとアメリカ の銀行が他国の銀行を凌駕しているのが一目瞭然であり、日本の銀行のそれは かなり見劣りすると言わざるを得ない。
 それでは、銀行の情報生産能力に関してはどうだろうか。銀行が実際に生産 した金融仲介サ−ビス生産量をみる上では、借入人との条件交渉及び協調融資、 あるいは出資に参加する金融機関の募集・取りまとめといった、国際的な金融 サ−ビスの生産に関連する生産技術を検討する必要がある。そこで、さしあたっ ては、企業二−ズにあった資金提供のストラクチャ−を最も安価に組成しうる 能力を端的に反映していると考えられる、International Syndicated Loan の アレンジ能力をみることにする。
                      表6:銀行の情報生産能力 
 
 日本   米国  英国 ドイツ 国際ロ−ンアレンジ能力  13.0  45.5  23.7  5.2
出典:先の「リスク管理能力」表に同じ。

情報生産技術についても、アメリカの銀行が圧倒的な強さを誇っている。加 えて、勘案する必要があるのは、アメリカの銀行大手行においては、組成・引 き受けしたsyndicated loanを返済期日まで保有することは少なく、その大部 分を他行ないしは他の金融機関に売却する−証券化する場合もある−のが一般 的となっていることである。
 つまり、ロ−ンの組成・引き受けを行なった銀行は、そのロ−ンの契約はそ のままにして、ロ−ン債権からのキャッシュフロ−を受け取る権利を第3者 (他の銀行ないしは機関投資家)に売却する(participation)のである。従っ てロ−ンの譲渡後も、ロ−ンをアレンジした銀行がそのロ−ン債権管理の活動 を継続して行なうことになる(ロ−ン債権売却のスキ−ムの詳細につ いては、池尾(1995)、岩村(1995)を参照。)。ロ−ン債権のアレンジ→売 却、という取引形態の場合では、銀行が自らの持つ情報生産機能とリスク管理 機能の面での優位性を生かして、銀行が実質的に私募債引き受け的な業務に参 入を図っているものであるとも解釈できる。
  こうしたロ−ン債権譲渡の動きは、金融仲介面での銀行に求められる役割が、 資金の受け手であるプロジェクトや企業の事前的な審査と、事後的な債権管理 −情報生産とリスク管理−にあり、単なる資金提供機能にあるわけではないこ とを示している。資金の提供は、債権の譲渡を受けた機関投資家(保険・年 金・信託等)などの他の主体が担うことになる。したがって、個々の銀行にとっ ては、審査能力や債権管理能力が厳しく問われることになる。  
資産規模では日本の銀行に追い抜かれて久しい米国の銀行が、このように情 報の生産能力やリスク管理能力の高低が問われる金融仲介サ−ビスでは、日本 の銀行をはるかに引き離して、世界の最先端をいっているという図式はまさに 金融仲介を巡る新しい潮流がいかなるものであるかを象徴している。新しい金 融仲介の潮流の中では、銀行の収益の源泉は、銀行が提供する情報と知恵の対 価なのである。様々な資産や負債の取引に際し、そのリスクや管理について優 れた情報を提供できるかどうかが、報酬を得られるかどうかの分れ道となる。 銀行が提示する情報や知恵に対する市場の評価が大きければ大きな収益が発生 するし、評価が小さければ小さな収益しか得られない。このことは、米国と日 本の銀行の収益性と収益構造を比較すると一層明らかになる。

米銀の収益構造−日本のそれとの比較


 まず、日米の主要な銀行の収益構造を比較してみよう。
              表7:日米両国主要銀行の収益におけるOff balance比率 

  92   93   94
都市銀行11行  0.29 0.32 0.33 米国主要7行 0.08 0.15 0.19
数字は非金利収入の、(非金利収入+金利収入)に対する割合。 米国の銀行はBankers Trust,BankAmerica, Citycorp, Chase Manhattan, J.P.Morgan, Chemical, First Chicagoの7行。日本の銀行は都市銀行11行。 出典は全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」、CD-ROM "BankScope" Bureau Van DJK。
この数字は、米国の主要銀行においては伝統的銀行業に関わる利鞘の部分は 収入全体の7割をすでに切るところまで縮小し、代わりにOff-balanceの部分 の収益が着実に伸びていることを示している。また、米国の大手銀行の非金利 収入のうち、平均でおよそ50%が(例えば94年度ではBankers Trustで6 3%、CityCorpで53%、Chemicalで44%)が、決算サ−ビスや財産管理以 外の手数料やコミッション収入で占められている。このことは、先進的な米国 の銀行が目指している方向性が、(1)ロ−ン債権のアレンジ・管理や、(2)派生 商品などを用いて顧客の取引のリスクヘッジをサポ−トしたり、(3)取引先企 業のバランスシ−ト全体を診断して、これに対してアドバイスを行なうことに あること、そして(1)(2)(3)からの手数料やコミッションが今後主要な収益源 となりつつあることを示唆している。つまり、米銀は自らの提示する情報と知 恵によって収益を上げることを目指して、経営をイノベ−トさせ、着実に成果 をあげているのである。
  一方、日本の都市銀行について言えば、第3章でみたように、預貸業務の成 長性は頭打ちになっているにもかかわらず、銀行業務の革新のぺ−スは遅いと 言わざるを得ない。Off-balance 収入の比率は米銀のそれの半分程度でしかな く、しかも、上記のOff-balance収入のうち、決算サ−ビスや財産管理以外の 手数料収入の全収入に占める割合は1994年でも、わずかに1.4%に過ぎな い。これらの数字は、明らかに日本の銀行が、金融仲介機能の新展開の中で必 要とされているイノベ−ションを怠っていることを示している。そして、イノ ベ−ションの遅れは、次の表に示されるように、日本の銀行の収益力を弱 めて経営の健全性を低下させている要因となっている。
        表8:営業利益率(当期税引き前利益/総資産:ROA)の推移 
 
90 91 92    93    94  都市銀行11行  0.30 0.30 0.21 0.13 0.15 米国主要7行 0.62 0.80 0.94 1.64 1.45
数字は%。 出典:第8表に同じ。

結び


  これまで議論してきたことを踏まえると、日本の銀行業が経営の健全性を高 め、内外からの信用を取り戻すことができるかどうかは、(1)個々の銀行が市 場から評価されるような情報や知恵を生産することで収益をあげられるかどう か、(2)そうした情報や知恵の生産に十分なインセンティブが発生するような 競争の枠組みが保証されるかどうか、の2点にかかっている。そこで、まず (1)について、我が国の銀行がとるべき戦略についてまとめた後に、(2)につ いて、これまでの考察から導かれる政策的含意を2点述べて、本論を結ぶこと にしよう。
(1)に関しては、今後預貸業務の重要性が、低下するにしたがって、金融仲介 機能の本質である「情報生産」と「リスク管理」における能力の優越が、より 厳しく問われることを、日本のそれぞれの銀行は認識しなければならない。こ うした中で、収益力を維持・向上させてゆくためには、自己に比較優位がある と思われる領域に経営資源を集中投下することが不可欠であり、低い収益しか もたらさない活動は切り捨てる必要がある。米国の有力行に共通しているのは、 いずれも自らの持っている情報生産機能・リスク管理機能のうち、最も優れた 部分に特化してこれを強化し、付加価値の高い金融商品を開発してきたことで あり、そのことが収益の拡大につながってきたのである。(このことは日本経 済新聞の1995年12月4日の「経済教室」欄の、メリンとミッチェルによ るコラム「邦銀は自己革新急げ」で詳しく議論されている。)  
言い換えれば、日本の銀行がこれらの機能を高めて行くことは、それぞれの 銀行が、徹底的に合理化・省力化され、金融仲介サ−ビスの生産に関して専門 的に運営を行なえるような組織体系を作ることによって可能になる。預金集め を経営戦略の根幹に据えるといった従来の方向性は今後の戦略としては明らか に大きな限界にきている。
(2)に関して、まず第1点は、既存の秩序や既得権益を保持しようとするあま り、銀行が自らの経営を革新していくために技術革新の成果を導入することが いやしくも回避されてはならないということである。これだけ技術革新が加速 化しており、その成果をどれだけ活用できるかが銀行の競争力を規定するとみ られる状況で、技術革新の成果の採用が遅れるならば、日本の銀行の国際競争 力の基盤を弱め、その結果国際金融システム全体に悪影響を及ぼしかねない。 銀行が技術革新の展開過程を積極的に受入れていくような政策スタンスが必要 であり、また、行政当局はそうしたことが可能になる環境を作って行くことが 必要である。具体的には、業務分野規制の残存が求められる金融サ−ビス供給 体制の再編成を抑制しており、これを早急に緩和・ないしは撤廃することが求 められる。
第2点は、公的セイフティ・ネットの提供体制についての見直しを本格的 に進めていく必要があるということだ。従来の公的セイフティ・ネットの提供 体制は、銀行に対する取り付けの発生といった事態が金融制度の安定性に対す る脅威の主要な形態であることを前提として設計されている。しかし、金融制 度に対する脅威の現代的な形態の中心は、そうした古典的な脅威の形態とはか なり異なっている。(このことは、派生商品取引に伴う市場リスクや流動性リ スクに端的に代表される。)従って、公的セイフティ・ネットの提供体制につ いても見直されてしかるべきである。
すなわち、従来のように銀行は一行たりともつぶさない、という護送船団方 式に基づいてセイフティ・ネットの提供をはかるのではなく、今後は市場メカ ニズムを利用したセイフティ・ネットの提供体制を構築することを目指さなけ ればならない。このための具体的な方向性としては、各金融機関に対して財務状 態のみならず、自身が用いているリスクの測定方法やそのパフォーマンスをも 継続的にディスクローズすることを求めることによって、市場の透明性を確保 する(詳しくは、国際決裁銀行(BIS)が1994年9月に公表した 「金融仲介機関によるマーケット・リスクおよび信用リスクのパブリック・ディ スクロージャーに関する討議用ペーパー」を参照}という政策があげられる。)。 いずれにせよ行政当局に今後求められるのは、金融機関がイノベーションによっ て創業者利潤を確保することを促進すると同時に、金融機関の信用度と健全性 に関する判断を市場に委ねることを通じて金融システムの効率性と安定性を確 保することを目指す、という新しい監督・規制体制を構築することなのである。
                                                                      以上
 

参考文献


 1.池尾和人(1991)「情報技術革新と銀行機能の再編成」、日本銀行
 金融研究所「金融研究」1991年9月
 2.--------(1995)「金融産業への警告」、東洋経済新報社 
 3.岩村充(1995)「金融システム活性化のために」、日本銀行
 金融研究所「金融研究」1995年3
 4.------(1995)「銀行の経営革新」、東洋経済新報社
 5.翁百合(1992)「銀行経営と信用秩序」、東洋経済新報社
 6.------(1995)「預金の機能と銀行業」Japan Research Review 1995.7
 7.シェーンホルツ、カーミット・武田真彦「情報活動とメインバン
 ク制」、日本銀行金融研究所「金融研究」1985年12月
 8.鹿野嘉昭(1994)「日本の銀行と金融組織」、東洋経済新報社
 9.堀内昭義(1993)「銀行活動と金融システムの安定性」、貝塚啓明・
   原田泰編「90年代の金融政策」、日本評論社
 10.メリン、ケビン・ミッチェル、アーサー(1995)「邦銀は「自己革新」
 急げ」日本経済新聞「経済教室」1995年12月4日
 11.薮下史郎(1993)「メインバンクと情報の理論」、堀内昭義・吉野直行編
   「現代日本の金融分析」、東京大学出版会
 12.吉田和男(1994)「日本型銀行経営の罪」、東洋経済新報社
 13.G.Kaufman and L.R.Mote ``Is banking a declining industry?
 A historical perspective'' {\it Economic Perspectives., May/June 1994.
 14.J.H.Boyd and M.Gertler ``Are banks dead?  Or, are the reports
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 ``{\it The (Declining) Role of Banking: Proceedings of the 30th Annual 
 Conference on Bank Structure and Competition'', May 1994